中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
教師が生徒にひざまずいて謝罪=問題の学生は「教師はサービス業」だと発言これについて少し。
李剛事件とは、今年10月に河北省保定市にある河北大学内で、発生した事件で、22歳の若い男が、大学内にいる彼女に会いにきたのですが、酒を飲んで車を運転しており、2人の女子大生をはね、1人を死亡させ、1人に重傷を負わせたというものです。当時、この男は全く反省の色を見せないばかりか、捕まった際に「俺の親父は李剛だ」と叫んだそうです(李剛事件についていは過去記事「ネットユーザーが大学学長の論文盗作を暴露=教え子の論文をパクった?!―河北」でも触れています)。
この李剛という方ですが、保定市北市区公安分局の副局長で、日本でいえば警察副署長にあたる方で、つまり「俺の親父は警察幹部で、偉いのだから、その息子である俺を捕まえられるものなら、捕まえてみろ」と大言壮語をしたという事件で、ネット上で大変話題になりました。
こうしたことがあったので、今回も中国のネット上では「官二代」(高官の子供)が関係した事件で、教師がしかった息子が市の高官の息子で、親父から圧力がかかったので、教師が生徒の前で謝ったのではないかなどと話題になっていたそうです。
こうしたことがあったので、記者が現地に取材に行き、教師本人にあって、話を聞いたところ、実はそうではなく、生徒に対する指導が厳しすぎるとして、一部の生徒から、反感をもたれていたので、自分としてもいろいろ反省するところがあり、突発的にこうした行動をとってしまったということででした。
まあ、うがった見方をすれば、中国の新聞などあまり信用できないので、ネット上の騒ぎを収めるために、こうした発言を教師にさせ、記事にしたという可能性も全くないわけではありません。
しかし、これ以上に思うのが、如何に中国において、役得というか、権力を持つ者が好き勝手に権力を行使しており、それに対する国民の反感がどれほど強いかということです。
中国で生活するとわかりますが、こうした権力との関係(コネ)は日常茶飯事で、それは何も高官に限ったことではなく、医者と知り合いなら、診察の順番を先にしてもらう、ただで検査を受けさせてもらうなど、いたるところに見られます。自分がその享受者であるなら、何の問題もないですが、大半のものは、そうし た一部の享受者のために割を食らうわけで、当然反感も強くなります。