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【消えた儒教社会】教師が生徒に土下座=「先生ってサービス業だろ」とうそぶく子ども―政治学で読む中国

2010年12月24日

教師が生徒に謝罪(湖南省)



教室內的黑板寫著校訓 / hokacheng


『中国青年報』が12月2日に報道した記事によると、中学校の英語教師が、授業をまじめに聞いていなかった生徒を叱った翌日、生徒の前に跪いて謝ったというニュースが掲載されていたので
教師が生徒にひざまずいて謝罪=問題の学生は「教師はサービス業」だと発言
これについて少し。

こういう中国のニュースを見てると、いつも思うのですが、平気で所属と名前が出てきます。今回も「湖南省婁底市」の中学英語教師「譚勝軍」としっかり記載してあります。

中国において跪くということは滅多にありえないことで、なおかつ、教師が生徒にということで、ネットですごく話題になったようです。そして、そこで論じられたのが、「俺の親父は李剛だ」事件との関連性です。

ブログ「政治学に関係するものらしきもの」の2010年12月2日付記事を、許可を得て転載したものです。

李剛事件とは、今年10月に河北省保定市にある河北大学内で、発生した事件で、22歳の若い男が、大学内にいる彼女に会いにきたのですが、酒を飲んで車を運転しており、2人の女子大生をはね、1人を死亡させ、1人に重傷を負わせたというものです。当時、この男は全く反省の色を見せないばかりか、捕まった際に「俺の親父は李剛だ」と叫んだそうです(李剛事件についていは過去記事「ネットユーザーが大学学長の論文盗作を暴露=教え子の論文をパクった?!―河北」でも触れています)。

この李剛という方ですが、保定市北市区公安分局の副局長で、日本でいえば警察副署長にあたる方で、つまり「俺の親父は警察幹部で、偉いのだから、その息子である俺を捕まえられるものなら、捕まえてみろ」と大言壮語をしたという事件で、ネット上で大変話題になりました。

こうしたことがあったので、今回も中国のネット上では「官二代」(高官の子供)が関係した事件で、教師がしかった息子が市の高官の息子で、親父から圧力がかかったので、教師が生徒の前で謝ったのではないかなどと話題になっていたそうです。

こうしたことがあったので、記者が現地に取材に行き、教師本人にあって、話を聞いたところ、実はそうではなく、生徒に対する指導が厳しすぎるとして、一部の生徒から、反感をもたれていたので、自分としてもいろいろ反省するところがあり、突発的にこうした行動をとってしまったということででした。

まあ、うがった見方をすれば、中国の新聞などあまり信用できないので、ネット上の騒ぎを収めるために、こうした発言を教師にさせ、記事にしたという可能性も全くないわけではありません。

しかし、これ以上に思うのが、如何に中国において、役得というか、権力を持つ者が好き勝手に権力を行使しており、それに対する国民の反感がどれほど強いかということです。

中国で生活するとわかりますが、こうした権力との関係(コネ)は日常茶飯事で、それは何も高官に限ったことではなく、医者と知り合いなら、診察の順番を先にしてもらう、ただで検査を受けさせてもらうなど、いたるところに見られます。自分がその享受者であるなら、何の問題もないですが、大半のものは、そうし た一部の享受者のために割を食らうわけで、当然反感も強くなります。

(執筆者・凜)

*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。

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