中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2010年12月25日
南京はどうしても第二次世界大戦時の影響から反日意識が強く、その象徴とも言うべき「南京大虐殺記念館」があり、いろいろ難しい面があります。実際、環球時報がネット上で行った大使の南京訪問の賛否に関するアンケートでは、賛成が7%、反対が93%となっており、やはり特別の場所だと感じさせられます。
大使館の役割は外交活動の拠点として、ビザの発給・邦人保護といった領事サービス、当該国の情報収集、自国の広報・交流活動などがあげられます。広報活動の一環として、日本のイメージの向上などがあるわけですが、今回のこうした活動は、これまで日中関係が悪化したときも何をしていたのかわからない以前の大使と比べて遙かにましだと思います。
大使が訪問すれば、礼儀としてその地方のトップが対応せざるを得ず、トップが対応すればニュースになるのが中国です。こうした活動を通して、日本の活動などを知ってくれる中国人が増えればと期待します。
実際、丹羽大使も「日本政府が対中経済協力の一環として教員など、青年海外協力隊員約100人を中国全土に派遣している点に触れ「日本人に会ったこともないという中国の地方の人々に日本をもっと知ってもら」」いたいと述べていたそうです。
丹羽駐中国大使、中国全土31市・省・自治区行脚へ 「草の根交流めざす」しかし、上記のような根強い反日感情以外にも、かなり状況は厳しいと感じます。例えば私が中国にいた時に看護士の方と話をする機会があり、その際、となりの科に青年海外協力隊として、派遣されてきた日本人看護士がいるという話がでたことがありました。中国人が青年海外協力隊に対し、どのような認識を持っているのか大変興味があったので、とぼけて「その人は何をしに来ているの」と尋ねたところ、「わからない。中国医学の勉強をしにでもきているんじゃないの」という回答でした。
JICAのボランティア事業について(国際協力機構(JICA)公式サイトより)つまり、彼(女)らは対中援助の一環として、技術指導のボランティアとして、派遣されているのであり、間違っても勉強をしに来ているわけではないのですが、となりの科とはいえ、こうした認識しか持たれていないということは、日本の援助がいかに知られていないかということの一つの現れでもあり、本当に先は長いと思わせてくれます。