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日本の対中援助を中国人は誰も知らない?!丹羽大使、南京訪問―政治学で読む中国

2010年12月25日

丹羽宇一郎・駐中国大使は初めて民間から登用された中国大使ですが、12月20日~22日までの3日間の予定で、江蘇省南京市を訪れ、南京市長や現地日系企業関係者との会談及び、教育機関等の視察も行うと報道されています。


十字形标识碑 / x li

*写真は南京大虐殺記念館。

大使は11月17~19日にも、地方視察として天津市と河北省唐山市を訪問しています。その時は、両市長との会談や経済開発区(日本からの企業進出が期待される曹妃甸工業区)の視察を行いました。伊藤忠商事出身ということを活かした、経済交流を行おうという意欲がよくわかります。7月に就任してから、独自の人脈を活かした地方視察に意欲を見せており、本来は9月上旬の予定だったものが、尖閣諸島の漁船衝突事件等の影響で11月に延期されたそうです。

*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。

南京はどうしても第二次世界大戦時の影響から反日意識が強く、その象徴とも言うべき「南京大虐殺記念館」があり、いろいろ難しい面があります。実際、環球時報がネット上で行った大使の南京訪問の賛否に関するアンケートでは、賛成が7%、反対が93%となっており、やはり特別の場所だと感じさせられます。

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大使館の役割は外交活動の拠点として、ビザの発給・邦人保護といった領事サービス、当該国の情報収集、自国の広報・交流活動などがあげられます。広報活動の一環として、日本のイメージの向上などがあるわけですが、今回のこうした活動は、これまで日中関係が悪化したときも何をしていたのかわからない以前の大使と比べて遙かにましだと思います。

大使が訪問すれば、礼儀としてその地方のトップが対応せざるを得ず、トップが対応すればニュースになるのが中国です。こうした活動を通して、日本の活動などを知ってくれる中国人が増えればと期待します。

実際、丹羽大使も「日本政府が対中経済協力の一環として教員など、青年海外協力隊員約100人を中国全土に派遣している点に触れ「日本人に会ったこともないという中国の地方の人々に日本をもっと知ってもら」」いたいと述べていたそうです。

丹羽駐中国大使、中国全土31市・省・自治区行脚へ 「草の根交流めざす」
しかし、上記のような根強い反日感情以外にも、かなり状況は厳しいと感じます。例えば私が中国にいた時に看護士の方と話をする機会があり、その際、となりの科に青年海外協力隊として、派遣されてきた日本人看護士がいるという話がでたことがありました。中国人が青年海外協力隊に対し、どのような認識を持っているのか大変興味があったので、とぼけて「その人は何をしに来ているの」と尋ねたところ、「わからない。中国医学の勉強をしにでもきているんじゃないの」という回答でした。

いうまでもないかと思いますが、青年海外協力隊を所管するJICAのホームページによると「青年海外協力隊とは、自分の持っている技術・知識や経験を開発途上国の人々のために活かしたいと望む方を派遣するJICAの事業です。派遣期間は原則2年間。」とあります。
JICAのボランティア事業について(国際協力機構(JICA)公式サイトより)
つまり、彼(女)らは対中援助の一環として、技術指導のボランティアとして、派遣されているのであり、間違っても勉強をしに来ているわけではないのですが、となりの科とはいえ、こうした認識しか持たれていないということは、日本の援助がいかに知られていないかということの一つの現れでもあり、本当に先は長いと思わせてくれます。


(執筆者・凜)

*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。



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