中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2010年12月30日
相次ぎ暴露された官僚子女の公務員就職=ネット民と政府がタッグで攻撃この記事では、今年中国で発生した関連事件がまとめてあるのですが、を、これを見ると、単純な点数の水増しで娘に99点という高得点を与えるパターンや、通常試験以外に関係者用の試験を設けるとか、わざと自分の娘以外応募できないような細かい応募基準を設ける等々、本当にいろいろな手があるなと、私は逆に感心してしまいました。
こうしたことが暴露された結果、子どもの採用は取り消しで、親は取り調べを受けることとなったようです。そして、上級庁が「内部招聘」や「人情招聘」を禁止し、公開募集とし、透明化を図ることとを通達する、ある意味、不祥事が発生したとき、どこにでもあるパターンそのものです。
中国における、こうした問題は公務員採用を巡ってだけ起こりうるものではなく、入試でも起こりえます。とはいっても大学入試はかなり厳格に管理されているので、その上の大学院入試の場合ですが。入試なので、名前は隠して採点されるわけですが、採点官と予め答案用紙の隅っこに記載する記号を打ち合わせておく等、これまたいろいろ方法があるようです。
実際、私の知っている大学で、これまでの最高得点で教授の奥さんが大学院に入学してきたそうですが、授業での発言などを聞くと、どこをどう見ても、平均以下だったという話を聞いたことがあります。上記の採用問題はネットで話題になったことから、問題になったわけで、こうしたことを見ると確かに中国も以前とは少しは変わってきたのかという気もしないではありません。
しかし、私の感想としては、殆ど変わっていないと考えます。というのは、あくまで今回話題になったのは、地方都市の採用問題だけで、本当に問題にすべき中央の高級官僚のことについては、問題になっていないからです。中国において汚職が原因で処罰されるのも大半が地方官僚で、中央の高い地位にある者の汚職はまず処罰されないのと一緒です。
こうした縁故採用を問題にするのであれば、本来「太子党」と呼ばれる高級官僚の子弟の縁故採用を真っ先に問題にすべきですが、中央の指導者が皆なにがしかのこうした縁故採用を行っている現状では、問題にされるはずがありません。
こういうとき『ウィキペディア』は本当に便利で項目「太子党」でかなりの事例が紹介されておりますので、一度ご覧になって見ると面白いかもしれません。