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男たちが消えた村で=ドラマ『女性の村』から見る中国現代農村―中国農業コラム

2010年12月31日

「女人的村庄」と現代中国農村

今回紹介する『女人的村庄』(女性の村)は農村が舞台です。

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現代中国の農村で多く見られる、青年男子が都市に出稼ぎに出てしまい、主に女性と子ども、高齢者のみが残っている農村(このあたりは日本の様子と似てきていますね)。そんな農村で残された女性が「女性にもできるんだ!」という気概の村の主任に引っ張られ、事業を展開していくというお話。

*当記事は2010年1月6日付ブログ「北京で考えたこと」の許可を得て転載したものです。

まだまだ農村のことはわからないことも多いですが、それをちょっと理解させてくれる様々な場面が面白かったです。例えば、(こんなに立派な人がどれだけいるのかが疑問ですが)村民委員会主任が村の内外を駆け巡り投資を村の事業への投資を引っ張ってくる役割を担っていたり、出稼ぎ者と故郷の村との関係の間に立って調停役を行ったりと。また小さい村社会ならではの暖かさと苦労(すぐうわさが広がったり、すぐに仲間になったりけんかしたりと)などなども。また、中国語も大変田舎言葉が面白く、それぞれの女性のキャラも立っていて、とっても楽しめるコメディです。

けど、今時こんな事業もできて人情味も厚い、各家庭のけんかや悩みの相談にも乗ってくれるような、立派な村主任はどれだけいるのでしょうか。

今回は養豚事業を持ってくるということになっていますが、ただ自分の今の仕事に翻って考えさせられるのは、農業の担い手が確かに実際に農村に留まっていないんだなあということ。今回のドラマではその事業の成功から農村に人が留まったり、戻ってきたりという風になっていますが、このように上手く農村で事業を成り立たせている事例は多くは無いでしょう。

都市化を進めるのは今でも中国農村・農業政策の基幹のようですが、一方18億ムーの耕地は死守するとも言います。一人当たり1ヘクタールに満たない耕地を看るには人は余っているということなのでしょうが、やはり「都市で頑張ることが成功」という雰囲気は同じく『蝸居』でも何度も見られた光景です。

そんな中、中国では「統籌城郷協調発展」というスローガンが唱えられています。都市と農村の調和のある統合的発展とでも訳しましょうか。この言葉は良く出てくるのですが、「良く意味がわからない」とも聞きます。これはまた別に改めてきちんと噛み砕いて書いてみたいと思います。


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*当記事は2010年1月6日付ブログ「北京で考えたこと」の許可を得て転載したものです。



<参考リンク>
『女人的村庄』DVD12枚組 現代映画ドラマ(クイックチャイナ)

<過去記事>
家が買えない!都市民の悲哀と悪辣業者を描いた社会派ドラマ「蝸居」を見た―中国農業コラム

「農作業?だるいッス」やる気ゼロ農民急増中?!恐怖の怠け者農法―中国農業コラム

中国7億人の農民が怯える「新農村建設」=中国各地で農民暴動が頻発する背景とは―中国

【中国農業コラム】「中国人は恨み深い民族だ」=ベトナム人が語る中国人像

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