「我們的八十年代」と改革開放前期の中国最近色々中国のドラマを見ていますが、本当に面白いものがかなりあるなあと。今回ご紹介するのは、改革開放初期の工場を舞台とした青春ドラマ『我們的八十年代』です。
とにかく、時代感を感じさせる国営工場での懐かしい
(って自分は経験したことないですが)雰囲気が素敵です。そこで描かれる若者たちは、市場経済の息吹を感じつつも、いわゆる「義」を重んじる「哥們」(仲間)としての関係なのです。喧嘩あり、恋愛ありの関係ですが、拝金主義的な現代中国から見ると、爽やかな涼風のように感じられます
(ちょっとほめ過ぎ?)。まあ、もちろんドラマだから爽やかなのですが、当時はそういう雰囲気はよりあったんだろうなあと感じます。
*当記事は2010年1月17日付ブログ「北京で考えたこと」の許可を得て転載したものです。
ただ、直接的ではなくとも、金銭につながる、権力関連のドロドロはきちんとドラマの中枢を占めています。工場周辺を舞台としたミニ・ポリティクスは、それはそれで中国で生きていく上で参考にするところがあるかなと。工場で誰につくかを考えることで権力によりそい、チャンスと見れば工場外でも自らの「関係網」(コネ・ネットワーク)をどんどん拡げて出世していこうとする若者(=ドラマでは悪者でしたが)もいましたが、まあこういうのは今も生きる現実なんだろうとも。
また、大学生が本当に超エリート扱いされているのも面白いところ。当時は本当に一握りしかいなかった大学生だから、とにかく大学生であることが一目置かれ、「工場労働者なんかとは一緒になっちゃイケない」といった強い階級意識も作っていたんだなあと。この時代に大学出ていたらさぞ鼻高々だったんだろうなあ、なんて思ってみたりして。また、当時勃興してきた郷鎮企業と工場との提携やら、工場労働者が工場を辞めて「個体戸」(個人事業者)になりだしたりと、80年代中国の改革とそれによる社会変動の様子が垣間見えます。
多くの若者が「没想那麼多」(そんなに深く考えてはいない)と言いながら仲間のために憤り、奮闘する実直な姿は、ちょっと大人になってしまった自分を省みさせられるようでした。さあ、次はどのドラマを見ようかなあ。
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*当記事は2010年1月17日付ブログ「北京で考えたこと」の許可を得て転載したものです。
<参考リンク>『我們的八十年代』 DVD 11枚組 現代映画ドラマ(クイックチャイナ)
<過去記事>男たちが消えた村で=ドラマ『女性の村』から見る中国現代農村―中国農業コラム日本で吹き荒れる反中感情?!「抗日」中国映画、日本公開のめど立たず―中国
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http://soumoukukki.at.webry.info/201101/article_1.html