• お問い合わせ
  • RSSを購読
  • TwitterでFollow

「儲かる農業」でネオンきらめく大都会に=「農業都市」寿光を見た―中国農業コラム

2011年01月05日

温室と高層ビルと−儲かる農業・寿光市

これまで数少ないながらも中国農業や農村の話題を追ってきましたが、イケイケの中国経済に比べれば、辛い状況の方が多く、問題山積との印象も受けていました。そんな中、ある種「イケイケ」な農業を展開しているように感じられた場所がありました。山東省寿光市です。

20101229_Agriculture1

その発展を支えているのが「日光温室」(写真参照)。加温などの人工的なエネルギーによる温度コントロールを行わないビニールハウスで、「寿光市出身の王楽義さんが吉林省など東北で見られた温室を1990年代からローカル化して規範化したものが元祖となり、その後もバージョンを上げながら普及しているものだそうです。この日案内してくれた方に拠れば、この日光温室栽培の広がりも含めた寿光での農業の成功は、現在中国全体の農業の中でも発展モデルとして注目されているそうです。

*当記事は2010年3月28日付ブログ「北京で考えたこと」の許可を得て転載したものです。

20101229_Agriculture2

北(上の写真の右側)は泥壁で固めるため北風に強く、南向きにビニール部を建てて作る。開け閉めをする屋根部には稲わらを使い、季節により開け閉めの時間も微妙に調節。屋根を高くすることで、小さいハウスに比べて中の温度が急激に乱高下するのを防いでいて、真冬は最低マイナス15度くらいにはなるこの地域ですが、ハウス内は0度以下にはならないそうです。

20101229_Agriculture3

写真ではちょっとわかり難いかもしれませんが、ハウス以上にビックリしたのが、ここで農業に従事している人の若さ!これまで訪れた農村や、農業地帯では本当に驚くほど若い人を見かけませんでしたが、ここでは20,30台の若者が農業をやっているそうです。ハウス一つで年間に6-8万元稼げると言うそうですから、それだけの収入があればわざわざ地元を遠く離れての工場での出稼ぎなどに出ないかもしれませんね。更には、ここ寿光に農業をしに出稼ぎに来る人もいるくらいとのこと。北京郊外でも確かに見ましたが、出稼ぎの様子も多様なものです(北京郊外の話題は以下の記事を参照。北京での農業事情:色々試されている大興区より

20101229_Agriculture4

農業エリアを見終えて寿光の中心地に出てくると、ひときわ高いビルに「POLICE」の看板が・・・。何かむやみに公共投資入っているなあという印象。成金ぶりも感じさせられるこの街です。

20101229_Agriculture5

夜の街は街路樹が(全くのイベントも無い普通の日ですが)ライトアップされ、「ここは青山か!?」と一緒に行った方がつぶやきます。儲かる農業の「農業都市」、こんな言葉が思いついた寿光の規模のでかさは相当なもののようです。



*記事についての情報や間違いなど教えて頂けると大変助かります!コメント欄か、メール(kinbricksnow●gmail.com、●を@に変えてください)でお願いします。

*当記事は2010年3月28日付ブログ「北京で考えたこと」の許可を得て転載したものです。



<過去記事>
【中国農業コラム】来年の農業政策の行方は?「中央経済工作会議」を読む

常識を覆す新稲作手法「SRI」=節水なのに高収量、しかもおいしい(1)―インドネシア情報

「農作業?だるいッス」やる気ゼロ農民急増中?!恐怖の怠け者農法―中国農業コラム


三度の飯より米が好き?!政府が「米を食べ過ぎるな」と呼びかけるちょっと不思議なお国柄―インドネシア情報


揺れる遺伝子組み換え米問題=当局内部でも対立―中国農業コラム

コメント欄を開く

ページのトップへ