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【投石禁止】<日本人読者への挑戦状>水の涸れた噴水と死体=密室トリック解答編―北京文芸日記

2011年01月04日

御手洗熊猫の解答

*本記事は「<日本人読者への挑戦状>中国ミステリー作家・御手洗熊猫先生のトリックを君は解けるか?―北京文芸日記」の解答編に当たります。

*トリックの発案者は、御手洗熊猫先生の友人であり、熊猫先生ご自身ではありません。当初、その点を勘違いしていたため、前回記事のタイトルは「中国ミステリー作家・御手洗熊猫先生のトリックを君は解けるか?」となっています。大変失礼いたしました。


先日御手洗熊猫氏からもらったクイズの反響が思いのほか多かった。死体が高い場所から落ちたのは別荘が噴水からえらく高い崖の上に建っていたからだとか、噴水に水が残っていないのはホースで水を抜いたからだとかたくさんの解答をいただきました。


Holmes!!... / dynamosquito


そもそもこの問題は熊猫氏が友人から出題されたもの。熊猫氏自身も頭を悩ませたこの問題の答えを昨日とうとうもらえました。

まずは問題文から改めて掲載。

(原文)
【距離別墅有10米→3米(熊猫氏から訂正あり)遠的噴水池,第二天噴水池里水全部消失,里面有一具屍体,从比別墅還要高空中掉下来的,然后水池周囲泥地上没有任何脚印。】提示乃是【篭中之心。什麼是篭,什麼是心,篭中之心是怎麼造成這種状況的。并且這个詭計與噴水池毫无関係,而水消失其実是一个提示。解答具有科幻色彩,不是高科技,只是没有人這様做過而已。不是巧合或者自然現象,有凶手和詭計存在。】

(日本語訳)
【その噴水は別荘から10メートル3メートル離れたところあった。翌日には噴水の水はなくなっており、その中には死体があった。死体は別荘から更に高い空中から落ちたようで、噴水の周りのぬかるみには何の足跡も見当たらなかった。】

ヒント【籠の中の心。何が籠で、何が心か、籠の中の心はどうやってこんな状況を作るのだろうか。またトリックと噴水は何の関係もない。しかし水がなくなっているのはヒントとなりえる。答えはSFチックだが高度な科学力は必要ない。ただ今まで誰もやったことがないだけだ。偶然でもなければ自然現象なんかでもない。犯人とトリックはちゃんと存在する。
*当記事はブログ「トリフィドの日が来ても二人だけは読み抜く」の許可を得て転載したものです。

《正解》
屍体其実是嬰儿(此処用到了叙述性詭計),別墅代表篭,其内的嬰儿代表心,一群信天翁飛過,叼起了嬰儿,但是嬰儿太重,掉落到噴水池中,那群信天翁接着喝完了噴水池中的水。

《意訳》
死体は実は赤ん坊でした(叙述トリックってやつさ)。ヒントにあった【籠の中の心】って意味は、籠が別荘で、心が別荘の中にいた赤ん坊ってこと。飛んできた アホウドリの群れが赤ん坊を咥えてさらうんだけど、体重が重くてその子を噴水の中に落としてしまうんだ。噴水の中の水はそのアホウドリの群れが飲み干したのさ。

20110101_mystery1

(゜д゜)ハァ?
 
熊猫
オレもこの答えを聞いたとき震えが止まらなかったぜ……


いやいやいやいや

そもそもこれ犯罪じゃないじゃん?!

熊猫
友人は、これは今まで誰も使ったことのないトリックだって…


トリックって人間が知恵を絞ったはかりごとって意味じゃないのか。フェア・アンフェアってレベルじゃねぇぞ。

死体が赤ん坊ってのは良いとして、犯人がアホウドリなんて事件はバカミスの部類にも入らない。事前に『答えを知ったらみんな怒っちゃうんじゃないかなぁ』って言って保険をうっておいたのに、それでもまだあがなえないぐらいヒドイ答えだ。

熊猫
オレもこの正解には納得がいっていなくて、別の人が出した答えがあるんだけど、見る…?


是非とも。

《別解答》
被害人在熱気球上,然后熱気球掉在了水池里,気球部分将噴水池包起来,熱気球的燃料還在燃焼,于是把噴水池中的水蒸発光了。(凶手可能是用箭将熱気球射落)

《意訳》
熱気球に乗っていた被害者が熱気球ごと噴水に墜落した。気球部分が噴水を覆い隠し、燃料は燃え続けたために噴水地の水は蒸発してしまった。(犯人は弓矢かなんかで熱気球を撃ち落したんだろう)(訳者注・気球も燃えてなくなったということだろうか)

こっちのほうがまだ合理的というか、犯人が存在しているので許せる。

ってか、噴水と別荘の距離を10メートルから3メートルに修正したのって、アホウドリが赤ん坊をそんなに運べないだろって気付いたからか?

なんでそういうところだけ現実的なんだよ!!




えーと、いかがでしたでしょうか。台湾の推理ファンからの問題は……?



物を投げないでください。

物を投げないでください。

物を投げないでください。


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(執筆者・阿井幸作)

*当記事はブログ「トリフィドの日が来ても二人だけは読み抜く」の許可を得て転載したものです。



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 コメント一覧 (4)

    • 1. 新潟省ぬん
    • 2011年01月04日 18:09
    • 彼の有名な人類史上初の推理小説のトリックが、
      そんな感じでしたね。

      今、そんなことやれば、バカミス認定されますが。
    • 2.  
    • 2011年01月04日 19:11
    • インド洋沖のサイクロンで魚群が空中に巻き上げられた。
      うち数匹の魚が中東の屋敷まで飛び、噴水の水面に叩きつけられ死んだ。
      巻き上げた水は周囲にぬかるみを作った。
      翌朝乾期の日差しが照りつけ、水不足の為余り水の入っていなかった噴水は干上がった。
      後には空の噴水と魚の死体が残った。

      ……これでは犯罪じゃなくて偶然だけど、レベルとしては変わんないかなw
    • 3. 犬彦うがや
    • 2011年01月04日 19:59
    • 5 モルグ街の殺人とか清水義範のタコが犯人だったやつとか…!華麗な文章力でごまかしたらおk
    • 4. Chinanews
    • 2011年01月04日 23:18
    • >新潟省ぬんさん
      ひょっとして動物大活躍という意味ですか?(笑)

      >2さん
      コウノトリよりもサイクロンのほうがリアリティが高いぜっ!

      >犬彦うがやさん
      綾辻先生が「本格は説得力」(うろ覚え)みたいな話をしていたような。トリックが突拍子なくとも、作品全体で説得力が生まれればOKなんでしょうかね。

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