中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。

2011年01月01日
2月
芸術家が暴力的土地収用に抗議(北京市)
北京市郊外の創意正陽芸術区は土地強制収用の対象地域に。反発する芸術家たちが寝ずの番をしているところに暴徒が強襲する事件が起きました。その場にいた日本人芸術家1人も負傷。で、その後抗議した芸術家たちは北京市中心の長安街に繰り出すデモを敢行。10人程度とデモ参加者は大きくなかったのですが、「長安街でデモ?!」というのは大きなトピックとなりました。なお立ち退き手当は当初の二束三文から500万元(約6000万円)にまで増額されたとのこと。芸術家たちの勝利、なのでしょうか。
3月
「日記事件」のタバコ局局長逮捕(広西チワン族自治区)
愛人とのお付き合いや贈収賄について生々しく記録した日記が流出。中国ネット民の話題をかっさらった「日記事件」の韓峰タバコ局局長が逮捕された。
子ども用ワクチン接種の真相(山西省)
「ワクチン接種により100人近い子どもが死亡した」との中国経済時報によるスクープ記事が話題に。真相は今もうやむやにされたまま……。
反社会殺人狂(福建省)
42歳の医者が小学校に乱入。8人の子どもを殺害するという凄惨な事件に。その後も模倣犯が相次いだ。
4月
中国住宅購入者向け住宅ローンの引き締め(広東省)
今年前半から不動産バブル対策が政府の主要課題になりました。
5月
上海万博開幕(上海)
史上最多の7000万人動員を達成。「Better City, Better Life」のスローガンは今の中国にとってまさしく必要なものなのですが……。
フォックスコン従業員の連続飛び降り自殺(広東省)
iPhoneを作っていることでも有名な、世界最大のOEMメーカー・フォックスコンの深圳工場で計11人が飛び降り自殺。ほぼ同時期に起きたホンダ子会社工場の賃上げデモとも相まって、「出稼ぎ農民の待遇問題」「権利意識が高まった第二世代出稼ぎ農民」などの問題に光が当たりました。また待遇改善のための賃上げラッシュもスタート。
高級クラブ「天上人間」の摘発(北京)
官僚やら会社社長が出入りする高級クラブ「天上人間」(名前の意味は「天国の人間世界」)が売春サービスなどポルノを提供していたとして摘発。政府とも深いつながりがあるため摘発されないと見られてきただけに大きな話題に。
6月
違法な高級戸建て住宅の取り壊し(広東省)
広州市二沙島の高級住宅地の取り壊し。違法建築は数あるものの、官僚や企業家が住む高級戸建て住宅の取り壊しは珍しいと注目を集めました。
北京市の行政区画改革(北京)
改革により崇文区、宣武区が消失することに。
大連の原油流出事件(遼寧省)
パイプラインが爆発し原油が海に流出。今後10年間にわたり影響が残ると言われる大惨事に。
南京の工場跡地爆発(江蘇省)
廃工場跡地の取り壊し中、間違えてエチレンが流れるパイプラインを破壊。大爆発が発生。13人が死亡する惨事に。南都週刊は「都市計画の無秩序と行政不作為を象徴」と評しています。
ブログ「Kinbricks Now」立ち上げ(日本)
海外ニュースサイト・Kinbricks Nowを設立。
8月
大渋滞(北京)
北京・チベット間高速道路で20キロの渋滞。その区間を通り抜けるのになんと10日もかかるという……。中国史上最大の大渋滞として注目を集めましたが、どちらかというと本当の問題は都市内部の渋滞。車が売れたら嬉しいという時期を通り越して、いかにマイカーに乗らせないようにするかを政府が考える時期に移行しました。
マニラバスジャックに対する抗議デモ(香港)
香港の観光客21人を乗せた観光バスがフィリピン・マニラでバスジャックされました。犯人は元警官。最終的にフィリピン警察は強行突入しましたが、その手際はお粗末そのもの。香港人8人が死亡する惨事となりました。香港では8万人が参加した大抗議デモが挙行され、哀悼の意を表すると同時にフィリピン政府への怒りが表明されました。
9月
深圳特区創設30周年(広東省)
改革開放の記念碑。そして折り返し地点でしょうか。
宜黄焼身自殺事件(江西省)
宜黄政府による強引な土地収用に抗議した住民3人が抗議の焼身自殺。1人が死亡した。この事件をネット民が注目。後にメディアで広く報道されるようになり、大騒ぎに。最終的に宜黄県共産党委員会書記と県長が罷免される事態に発展した。
南都週刊は「傍観が中国を変えた、典型的な成功ケース」と評している。「囲観」(傍観)、「関注」(注目)は近年の流行語。政府の強権に大して何も出来ない一般市民がネットで事件を告発。みなに「見てくれ、注目してくれ」と訴える事態が頻発している。もちろん市民の訴えが通るのはレアケースでしかないが、裁判や陳情よりはまだ可能性がある道として注目を集めている。
10月
オレの親父は李剛だぞ(河北省)
交通事故を起こした官僚のぼんぼんが「オレの親父は李剛だぞ」(父・李剛は区公安分局局長)と発言。これがネットにさらされ、大変な話題に。
段階的電気料金制度案発表(北京)
節電を促すべく、電力消費量が一定量を超えた家庭の料金を高くすると言うプラン。エコ、省エネも今年の中国をにぎわすテーマでした。
11月
広州アジア大会開幕(広東省)
中国がアジア大会史上最多の金メダルを獲得。豪華な開幕式・閉幕式など五輪級のビッグイベントに。
上海高層マンション火災(上海)
外壁改修中のビルが炎上し、58人が死亡する惨事に。「頭七」(初七日)には10万人もの上海市民が現地を訪れ献花した。南都週刊は「上海の市民意識と市民精神の萌芽を感じさせた」と評している。
連勝文、狙撃される(台湾)
元国民党主席・連戦の息子である連勝文が、選挙の応援演説中に狙撃された。
12月
全国の都市にインフレ圧力(中国)
秋口からインフレ問題が表面化。今後1~2年は中国にとって最大の課題になるでしょう。「世界に「中国の奇跡」とたたえられた高成長低インフレ経済モデルは、今後高止まりするインフレによって終結するだろうと人々は感じている。「物価上昇率の高止まり」は中国各都市に経済を脅かす存在になった」(南都週刊)
この話題気になるので。