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中国が離島奪取計画を立案=朝日新聞報道に中国官制メディアが反論―政治学で読む中国

2011年01月04日

中国海南計画


Storm Clouds Coming Above The South China Sea / thienzieyung


朝日新聞が12月30日に南シナ海に関する2本の記事を掲載しました。1つが中国軍が「南シナ海で、他国が実効支配する離島に上陸し、奪取する作戦計画を内部で立てていることがわかった」というもので、
空・海から奇襲…中国軍が離島上陸計画 領土交渉に圧力(asahi.com、2010年12月30日)

もう1つが、南シナ海は「核心的利益」というものです。
南シナ海は「核心的利益」 中国、軍中心に強硬論(asahi.com、2010年12月30日)

1本目の記事には南シナ海の領土紛争を巡る地図が掲載されており、大変参考になります。

*当記事は
ブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。

あの朝日新聞がと少し意外な感じですが、ある意味で典型的な日本の新聞記事で、「広州軍区関係者が明らかにした」と誰が言ったかわからない記事になっております。

確かに情報提供者を守るという意味があるのでしょうが、何も信用できない現代においては、計画書などのそれなりの証拠も示さずに、記事を信用してくれというのは多少無理があるような気がします。

もしかすると、この「広州軍区関係者」が嘘をついている可能性も否定できず、証言以外の客観的証拠がほしいものです。実際、朝日新聞などはこれまで警察の自白重視の取り調べをさんざん批判してきたわけですから、証言だけでは信用できないことはよくわかっていると思うので、是非お願いしたいものです。

なぜこんなことを書いているかというと、この記事が『環球時報』で批判されているためです。『環球時報』は専門家劉軍紅の言い分を基に批判を展開していますが、これがなかなかすばらしいものとなっております。彼によると、日本は中国と尖閣諸島の問題があるので、東南アジアを抱き込んで中国に対抗しようとしているが、東南アジアはだまされたことがないそうです。

日韓が中国制定の南海作戦計画を不当に喧伝=暴露記事は離間の計だと専門家は反論(環球時報、2011年1月2日)
つまり、中国から見るとこうした記事は日本が中国と東南アジアの関係悪化を目論み、流したデマに見えるようです。いつも思うのですが、発想というか、邪推というか、そういうものは、大体いつも自分が思っていることが基になります。

あの朝日新聞が日本政府の依頼を受けて、外交の宣伝記事を流すなどという発想は普通の日本人には思い浮かびませんが、「マスコミ=政府広報」である中国にとっては、至極当然の発想で、実際コメントを見てもかなりの方がこうした主張をそのまま何の違和感もなく受け入れているようです。

なお、朝日新聞の2つめの記事では、中国外交は鄧小平が唱えた「韜光養晦」から、「核心的利益」に基づく考え方に方針転換をしてきたのではないかと分析しておりました。「韜光養晦」については中国外交記事2題を、「核心的利益」については、中国の「核心的利益」を参照していただければ幸いです。

この記事を見ていて、もうひとつ思ったのが、実際中国では朝鮮半島問題など諸外国との緊張が高まると(領土問題などは典型的ですが)、鷹派的意見が強いのもかかわらず、こうしたところでは、中国は平和を重視しているという、建前を堅持しつづけるということです。

日本も戦争放棄・武力不保持という建前を堅持し続けているので、あまり偉そうなことは言えませんが、建前は建前ですごく大事なので、中国には、このまま堅持し続けてもらいたいものだと思います。

(執筆者・凜)

*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。





<過去記事>

 コメント一覧 (2)

    • 1. マネ
    • 2011年01月04日 22:10
    • 中国の「核心的利益」っていうけど、我らと関係ないものしか見えない。自分の民度低いからだろうか

      あけましておめでとうございます。
    • 2. Chinanews
    • 2011年01月04日 23:13
    • >マネさん
      あけましておめでとうございます。今年も宜しく。万事如意!

      最近は「核心的利益」という言葉、乱発しすぎじゃない?なにがなんだかわからなくなってきました……。たまには「鶏肋的利益」とかも欲しいです(笑)

      日本もあえて中国風に「核心的利益」といえば、領土問題になるんでしょうけど、それが一般市民の幸せというか、民生とはかなり違う次元の問題だというのは、中国と変わらないですねぇ。

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