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中国外交官が見た対日外交の転換=鳩山・小沢の友愛外交から菅首相の掌返しへ―政治学で読む中国

2011年01月09日

徐敦信前駐日大使インタビュー

20110106_china_Politics
※敦信前駐日大使、広州日報の報道。


徐敦信前駐日大使が『広州日報』の取材に応じておりましたが、それが大変興味深かったので、それについて少し。
表舞台にたった日本の「若手派」=対中外交で犯した2つのミス(広州日報、2011年1月5日)

*当記事は
ブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。

まず2010年の日中関係の回顧からはじまりますが、この1年の日中関係を「はじめは高いが、低くなり、突然変わった」と評しております。アメリカ依存をやめ、アジア重視を打ち出した鳩山内閣、6月には菅内閣に変わりますが、8月15日には閣僚は誰一人として靖国神社を訪問せず、自民党政権とは違うことを見せてくれたとしております。

ところが、尖閣諸島沖の衝突事件が起こるや、まるで山が崩れたかのように全てが変わり、新防衛大綱は出てくるは、アメリカと史上最大規模の演習を行うまでになったと述べています。

やはり、自分と異なる視点で物事を見るというのは、実に面白いものです。中国人から見ると確かに日本はこう見えるかもしれません。そして、前大使は、48歳の前原誠司に代表されるように、若手が台頭してきて、民主党内の「鳩山派」や「小沢派」が脇に追いやられてことが、この変化の原因だと指摘しております。

確かに、この説明には一理あるかもしれません。(一)昨年の中国を見ると、中国は基本的にスタンスを変えておらず、どちらかと言えば、そうした中国に日本(鳩山首相や小沢幹事長)が勝手に寄り添ったかと思えば、いきなり、漁船衝突事件以後は態度を豹変させたと見える部分もあるかと思います。

日中関係で何か問題が起こると、責任は日本にあるというのが、中国の基本的なスタンスなので、基本的に前大使の発言もこのスタンスに基づいてなされている部分はあります。しかし、この立場は、この立場として一貫しており、変わることはありません。

日本人にしてみれば、日本の行動は至極当然で、漁船衝突意見後、中国に対抗するためにアメリカとの関係を強めた(関係を修復した)にすぎないわけです。

しかし、中国にしてみれば、鳩山首相が「友愛」を唱えたり、小沢幹事長が大勢の国会議員を引き連れて中国を訪問したことは、日本が政権交代(前大使は「王朝交代」と表現しておりますが、実に面白い言い方です)を機に、変わったと思わせるにふさわしい行動で、ある意味間違ったメッセージを発信してしまった責任が日本にあるのではないかと考えます。

藤尾正行文部大臣や江藤隆美総務庁長官の失言による辞職などを見ても、日本人にしてみれば「あの大臣なら・・・」、という感じがあります。しかし、その一方で、どうしても私には日本の政治家の言葉が軽すぎる、行動が軽率すぎる部分があるように思えてなりません。

やはり政治家たるもの、信念が必要で、その意味で小泉首相は立派だったと思いますが、先に書いたように日中関係が悪化した場合、中国にとって悪いのは日本なので、日本が態度を改めない限り(首相が参拝を止めない限り)、中国が譲歩することはできないことになってしまうわけです。

靖国参拝問題については、歴史認識、宗教観の違いなど様々な問題が状況を複雑にしておりましたが、基本は単なる意地の張り合いで、どちらも引けなくなっただけではないかと考えます。こうしたことを見るとやはり政治は難しく、専門知識・度量等様々なものが要求されるので、単なる人気では選べない面もあれば、任せてみないとわからない賭けのような面もあるなと、ひしひしと感じます。

(執筆者・凜)

*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。



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