中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
朝日新聞社説「中国と向き合う―異質論を超えて道を開け」(2011年1月4日)
ネット世論を使う
中国側を理解、納得させ、行動に移させるために、その4億人を超すネチズン(ネット市民)に日本の考えを、政府だけでなく民間も発信していくことが重要だ。
中国の有名なネット言論人の安替氏によれば、既成メディアは当局の考えに縛られるが、ネット上の議論は百花斉放である。中国政府の監視が及びにくいツイッターが今では世論を導く。
北京の米国大使館はすでに毎月、影響のあるブロガーらを招き、大使との意見交換をしている。オバマ大統領の意向だという。
日本も官民で中国国民に直接働きかける外交を試みていきたい。
これってちょっとどうなの?と突っこんでいるのが、海外IT事情に詳しいライター・山谷剛史さん。「外国に対する先入観はメディアが作り上げる」という記事でこの問題を取り上げています。元になったツイッターのやりとりでは私もいろいろ口をはさんだので、近いうちに自分の見方をまとめたいと思っています。
ですが、その前に議論の参考になるような記事を見つけたのでご紹介します。2011年1月6日付法制晩報「マイクロブログのユーザー数が1億人を突破=ニューメディアを代表する新勢力の登場」です。気になった部分だけご紹介します。
2010年12月末、上海大学世情研究実験室は『2010年中国マイクロブログ年間報告』を発表した。マイクロブログは2007年に中国に上陸。昨年は捜狐、騰訊、網易などの大手ポータルサイトが続々とマイクロブログサービスをスタートさせる飛躍の年となった。10月時点で登録ユーザー数は1億2521万7000人に、アクティブユーザー数も6500万人を突破したという。まじで?!と驚くぐらい、マイクロブログを高評価していますね。まあ、マイクロブログを研究している人たちにはそれを高く評価するバイアスがかかる可能性も高いので、話半分ぐらいで受け止めておく必要はあると思いますが。にしても爆発的なユーザー数の拡大は事実です。
あるメディアが5000万人のユーザーを獲得するまでにかかった時間で比べると、ラジオが38年、テレビが13年、インターネットが4年かかったのに対し、マイクロブログはわずか14カ月で達成したことになる。現在、20以上ものサービスが存在しているが、大手ポータルサイトのサービスが圧倒的シェアを占めているという。
また同報告書はマイクロブログという新たなツールが人気を集めてきたことで、中国のネット世論に大きな影響を与えていると分析した。従来はネット掲示板、ブログ、ニュースサイトのコメント欄が役割を担っていたが、マイクロブログの爆発的な成長に伴い、ネット掲示板やブログは情報公開や告発といった機能が弱まってきているという。
人民網世情監測室の統計によると、2009年に注目を集めた事件77件のうち、18件がネット掲示板かブログ発だった。一方、世情研究実験室の調べによると、2010年の注目事件50件のうちマイクロブログ発のものが11件を占めたという。
また報告書は2010年に起きたマイクロブログと関係があった事件74件を調査した結果、約半数に明らかな「オピニオンリーター」が関わっていると指摘している。マイクロブログは情報の分散、拡大に効果を発揮すると同時に、情報伝達の権限を一部に集中させる効果もあるという。ゆえにある問題に関する情報流と意見が「オピニオンリーダー」に集約されることとなった。