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離婚しやすいはデマだった?日中国際結婚と離婚率―政治学で読む中国

2011年01月07日

日中国際結婚と離婚率

在日中国人を主な読者とする『中文導報』が1月3日に、「「日中間の婚姻の離婚率は半分ちかい」というのは誤って伝えられたもの」という記事を掲載しましたが、これが興味深かったので、これについて少し。


Long Wedding Dress for Couple with Flowers / epSos.de


この記事は、日本のメディアが「毎年1万人を超える日本人と中国人の国際結婚があるが、そのうち半分近くは離婚し、こうした高い離婚率が日中国際結婚の特徴の1つである」と報じたことに対する『中文導報』の異議申し立てです。

日本メディアは、厚生労働省の統計を引用し、2008年の日中国際結婚は13,223組だったが、昨年離婚した数も5,946組になるので、これをして離婚率は44.96%に達しており、半分近くは離婚すると報道したそうです。

*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。

『中文導報』は、この計算方法が間違っており、離婚率の計算式は「毎年の離婚件数÷現在の日本人人口×1000」(正確には「10月1日現在の日本人人口」)なので、2006年を例にとれば、統計上の離婚率は2.04にしかならないとしております。

その上で、日本の婚姻件数は73万2000組、離婚件数は25万8000組なので、同じ計算方法をとれば、日本の離婚率は35%になってしまうとしております。

更に、1年の婚姻件数と離婚件数の単純な比較で分かるのは、日中国際結婚の離婚が突出して多い訳ではないことだとして、2006年の数字で見ると、日本全体の婚姻件数と離婚件数は2.8対1(732,000対258,000)、日中国際結婚が2.5対1(13,214対5,227)で殆ど差がないと主張しております。

日中間の国際結婚というと、結婚相談所を介して結婚するケースが多く、豊かな外国生活に憧れる貧しい中国人女性と、跡取りがほしいだけの農村の日本人男性といったステレオタイプや、偽装結婚に関する報道も、しばしばなされていることなどから、どうしても、うまくいっていないものが多いのではないかというイメージがあり、離婚するものが半分近いと聞いてもそんなものかと受け入れてしまいがちになります。

国際結婚ならではの苦労というのはあるかと思いますし、偽装結婚という問題もあるのは確かですが、相手が外国人だろうが、日本人だろうが、長い結婚生活の中にはいろいろあり、うまくいくのもあれば、いかないのもあるという、考えてみれば当然のことを数字が表しているに過ぎないと考えます。

どうしても日本はアメリカ等に比べて、離婚は極めて少ないという思いこみがあり、こうした「神話」を初めから疑いもせず(実際の数字を確認もせず)に、信じていると、いろいろな誤解を生みやすくなります。

やはり先入観にとらわれず、いろいろ調べてみるのは面白く、この報道を見て、厚生労働省の統計を初めて見ましたが、平成18年の統計は、国際比較がなされており、なかなか興味深い数字が並んでおりました。

20110107_china_Politics

*平成18年 人口動態統計の年間推計(厚生労働省HP)より。

これによると、人口千人対のアメリカの婚姻率が7.5、離婚率が3.6、日本の婚姻率が5.8、離婚率2.04となっていて、離婚率÷結婚率×100でパーセントを出すと、アメリカが48%、日本が35%となっています。私のイメージとしては、日本より遙かに離婚率の高い韓国も、婚姻率が6.5、離婚率2.6(上記計算をすると40%)と日本と大差ない状況で、本当に日本は離婚が少ないというのは既に「神話」にすぎないと思い知らされました。

(執筆者・凜)

*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。


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 コメント一覧 (2)

    • 1. ~
    • 2011年01月07日 23:48
    • 実際に結婚し離婚した数にしか関心ないかな

      どうも日中結婚推奨のおかしな記事続いてるしね、流れに棹さされまいとの感じがしちゃうなー
      中国がよくやるカウンターくさい
    • 2. Chinanews
    • 2011年01月08日 17:12
    • >~さん
      >日中結婚推奨のおかしな記事続いてるしね
      中国メディア、というか、中文導報、新華僑報などの日本華字紙は、「日本で苦しい生活を送っている中国人妻」みたいな記事が定番だったので、ちょっと新鮮だなと感じたのですが、別の文脈では国際結婚バンザイのニュースも多いということですね。情報どうもです。

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