iPhoneやiPadで使用するソフトや音楽を購入できるiTunesストア。そのアカウントがハッキングにより盗まれ、中国で大規模に売買されているとAFP通信が報じました。
iPhone 4 - Twitter / William Hook今回の記事は「
iPhoneユーザーが危ない?!盗まれたiTunesアカウント、数万件がネットショップに」の続報です。未読の方はまずは前編をお読みください。後編にあたる今回は、ハッキングされたアカウントの購入問題について中国ネットユーザーが議論している中国ネット掲示板をご紹介します。
タオバオで売っているあの手のiTunesコードでのチャージって使えるの?
スレ主(2010年8月11日)
タオバオで売っている、あの手のiTunesコードでのチャージって使えるの???安全???
1=スレ主
時間の制限あるよね?
2
ギフトコードの類だったら、買って使ってもいいよ。でも闇アカウントは買っちゃだめだ。もしアカウントを凍結されたら、購入したアプリも更新できなくなるし。あと、闇アカウントには盗まれたクレジットカード番号が保存されているんだ。だから、法律的には闇アカウントで有料アプリを買うと窃盗になるんだよ。。。
(前回の記事で紹介したように親切に使い方を教えているショップがあることを考えると、人のクレジットカードを使って有料アプリを買っているということを意識せずに使っている人もいるかもしれませんね。)
↑
6=スレ主
いや、闇アカウントじゃなくて、iTunesアカウントのコードを使って自分のアカウントの残高を増やすやつのこと(ギフトカードのことか)。使えるかどうかよく知らないの。なにせ始めてアップル製品を使ったものだから。
↑
9=2
その手のやつは安くないよ。。。
3
使えるのもあるし、使えないのもある。ショップでちゃんと聞くしかないね。
4
君がいっているのはあれ?50元で売っていて、12時間限定で100ドル分使えるってやつのこと?
5
ギフトカードは買ったことはないけど、iTunesアカウントなら買ったことはある。24時間限定しよう。50ドル分使えるのが10元だった。
ちょうどiPadを買ったばかりでね。初めてiOSを触って全然分からなかった。またアメリカのアップストアにしかアプリがなかったんだけど、それを買うにはアメリカのクレジットカードが絶対に必要だったから。招商銀行の人民元・米ドルカードを使って何回かチャレンジしたけどダメだったんだ。
(購入後)実際は72時間の間、アカウントは使えたね。使った金額も50ドルよりよっぽど多かった。ダウンロードするアプリがなくなったから映画と音楽を買うことにしたんだ。『アバター』『2012』『This is it!』の映画3本と音楽たくさん。それからオーディオブック。ともかく何でも買って試してやろうって。
注意点としては、直接接続すると、ともかくネットが遅いの。中国電信のADSL(3メガ)だったんだけど、秒速30キロバイトぐらいしかでなかった。董事、米国の有料VPN(仮想プライベートネットワーク。本来は企業などで通信の機密を確保するために使用される技術だが、中国では政府のネット検閲を回避するための手段として用いる人が多い)を経由したら、300キロバイトまでスピードアップしたから、ギガバイト級の映画もどうにか落とせた。
思うんだけど、(iPhoneの)新人にとっては安く体験できるいい方法なんじゃないかな。たった10元だし。使ったらアップストアがどんな風に運用されているのかよくわかるよ。
(誰かのクレジットカードを50ドル分不正利用したという意識ゼロ!なんともはや……)
7
正規版を買えばいいんじゃない。でも高いよ!
8=スレ主
168元で50ドル分だって。
12
「脱獄」するのがいいのか、それともアカウントを買うのがいいのか。
(脱獄とはiOSをハッキングしてソフトウェア的改造を施すこと。通常はインストールできない海賊版アプリのインストールが可能になる。)
・解説
スレ主はわかっているのかわかっていないのかぼやかした書き方をしているが、「安全?」と聞いているからには「窃盗」であることをある程度理解しているのではないでしょうか?
噴飯ものなのが「>5」。
50ドル以上使ってやったぜと犯罪自慢。しかも「新人にはちょうどいいんじゃない?」とまでうそぶく始末。いや、海賊版だって企業に被害を与える犯罪行為ですが、ハッキングされたアカウントの使用は個人の財布から金を抜く行為。50ドルぽっちではるばる中国まで捜査されることはないとタカをくくっているのかもしれませんが、罪悪感ゼロってなに……?!
このスレがたったのは2010年8月のこと。AFPの報道は今月7日ですので、
少なくとも4カ月以上はハッキングされたアカウントの売買が行われ続けていたことになります。さて、ちょっと気になるのが「>12」のコメント。過去記事「
iPhoneアプリは全部タダ?!中国最強iPhoneサイトは初心者にも優しいアングラサイトだった」でご紹介しましたが、iPhone人気の高まりに伴い、中国には複数の「iPhone海賊版利用指南サイト」がオープンしています。親切な作りで初心者でも「脱獄」が可能。海賊版アプリも音楽も映画もダウンロードし放題です。
つまり「脱獄」すればiTunesから正規版アプリをダウンロードする必要はなくなるのです。それなのにハッキングされたアカウントの需要ってあるのでしょうか?「脱獄」の仕方を知らないか、まだ海賊版が出回っていないアプリを購入するためか、海賊版だとソフトの自動バージョンアップがないのが面倒と思っているためかじゃないかとは推測できるのですが……。
・アップルとタオバオ
ここまで大規模なハッキングアカウントの売買が行われているとなると、気になるのはその「仕入れ先」。AFPは「専門家によると、クレジットカード番号が登録されている海外ユーザーのiTunesアカウントを盗むケースもあれば、海外のクレジットカード情報を盗んでiTunesアカウントに登録し、販売するケースもあるという」と報じているが、詳しいことはよくわかりません。
昨年7月にはiTunesアカウントが多数ハッキングされる事件が起きているが(
参考リンク)、同社の対応が気になるところです。
より問題が深刻なのは中国のネットショッピングモール・タオバオ。報道があってから慌てて、問題のショップの削除を始めたようですが、問題は同社の体質そのものに深く根ざしているのでそう簡単にはおさまらないでしょう。つまり、タオバオは出店ハードルが低く、誰でも簡単にショップを開けるため、iTunesアカウントに限らず、不正商品があふれているのです。
この点については、過去記事「
巨大ニセガンダム撤去へ=でも真の敵は別にいた!中華ガンプラの世界をご紹介」でも少し取り上げました。中国ナンバーワンのネットショッピングモールに成長したタオバオ。親会社のアリババは世界最大のB2Bサイトを保有し、世界進出までうかがう勢い。もはやヤンチャで許される企業ではないはずなのですが……。
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