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偽装結婚ならぬ「ニセの離婚」ってなんだろう?―政治学で読む中国

2011年01月11日

「偽の離婚」の「愛人」

『広州日報』に「誰が「偽の離婚」の「愛人」なのか」(広州日報、2011年1月8日)という面白い記事が掲載されていたので、これについて少し。

最初、この記事の見出しを見たところ、何を意味するのか全くわかりませんでしたが、いろいろな制度を活用するために、偽の(書類上の)離婚をする者がいるという話です。

記事でも「多くの外国人には全く理解できないだろうが、中国では「偽の離婚」は中国の独特の社会現象」だと述べて、「偽の離婚」の説明が始まります。

*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。

例えば、2005年には、華北油田が「独身者は一時休業させない」という方針を打ち出したところ、「偽の離婚」が続出したそうです。ハルビンの教育部門でも離婚した女子職員には有利な光熱費の精算制度を設けたところ、これまた大量の「偽の離婚」が発生したそうです。

そして多分、インフレ(特に不動産価格の上昇)が激しい中国では、今一番関心が高いと思えるのが家の話題で、重慶のあるところで土地の再開発に伴う家の補償に関する規定で、離婚すれば、それぞれ別個なのだから、それぞれが1軒づつ家(実際はおそらくマンションでしょうが)を、特別に安い値段で買うことができるという規定がありました。そのため、ここでも大規模な離婚が発生したそうです。

また、現在では、不動産価格の高騰を抑えるため、家を買うことが制限されておりますが、それを避けるためにも、静かに「偽の離婚」が広がっているそうです。

実際、この記事には、最初にアンケートの結果が掲載してあり、それによれば、「家を買うために偽の離婚をするかどうか」という質問に対して、64%の者が「考えても良い」と答えたそうです。

この記事の面白いところは、夫婦が離婚する場合には普通、「第三者(愛人)」がいるものだか、この「偽の離婚」の場合の「愛人」は誰だという質問をたてて、「制度」だと答えております。

先に述べたような様々なものや、戸籍制度などいろいろな制度がこうした「偽の離婚」を生み出していると述べております。そして、こうした「偽の離婚」は社会の公序良俗を損なうものだと批判しております。

なかなか、風刺のきいた、面白い記事だと思いました。実際日本でも、サラ金の取り立てから逃れるため、偽の離婚をしたり、金融機関のブラックリストに掲載されている自分の名前(名字)を変えるため、誰かの養子になったりする事例がありました。

以前、中国人を話をしていて、日本人は「融通がきかない」と言われたことがあります。日本人は相対的に、細かいところを気にする傾向があるのは確かです。こうした「偽の離婚」も彼らに言わせれば、融通をきかせただけかもしれませんが、融通をきかせすぎだと思うのは私だけでしょうか。

(執筆者・凜)

*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。


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