中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年01月16日
○経済を動かしているのは、景気の波ではなくて人口の波、つまり生産年齢人口=現役世代の数の増減だ。
○日本はバブル崩壊後も一貫して貿易黒字国、かつ資本収支黒字国。ものを売って、金を貸して稼ぎまくっている国。中国に対しても一貫して貿易黒字。「中国の繁栄は日本の敗北」は「自虐経済観」。韓国・台湾・シンガポールからも同様に儲けている。
○対G8加盟国で、日本が近年一貫して赤字なのはフランス、イタリア。「自国の高級ブランド品」を作れている国。
○GDP総額で国が測られるわけではない、量より質。中国にとっくに抜かれたフランスやイタリアが世界での地位を大きく下げてきたのだろうか?
○ 日本人一人当たりの水道使用量は1997年がピーク。その他多くの指数がこの頃ピーク(バブル終了期ではなく)。95年頃から国内新車販売台数、小売販売額、雑誌書籍販売部数、国内貨物総輸送量、自家用車による旅客輸送量、蛋白質や脂肪の摂取量、国内酒類販売量も減っていく。人口ボーナスの時代から、人口オーナスの時代へ。
○景気が良いから売れていると思っていたバブル時代、頭数が増えていたことに合わせて増やしていた生産キャパが過剰になった後も「景気が良くなれば」と、実数を見ずに景気に頼っていたことで事実を見誤った。
○アメリカは「農業以外の雇用者数」、日本は「失業率、有効求人倍率」。前者は絶対数、後者は割合。日本経済ももっと絶対数を見るべき。
○~~率という数値を見た時には何で何を割っているかに注意。絶対数の推移に注意を払い、単に「前年同期比」に惑わされない。フローばかりに注目せずにストックも見なければだめ。
○高齢者の貯蓄は将来の医療支出などに備えているゆえに、事実上「医療福祉サービスの先買い(コールオプション)」、流動性に極めて乏しい。
○75 歳以上は首都圏(東京、埼玉、神奈川、千葉)で2015年には68%、154万人増!仮にその1割が施設に入るとすると15万人以上の定員増、3割が要介 護となると50万人増、ヘルパーも何万人も増やさなければいけない。団塊世代が75歳になる2025年にはもっとスゴイ。
○戦争当時の「一億一心、一億火の玉」と言っていたのは海外にいる日本人と朝鮮台湾人も含めた数で、実際には七千万超。それが一億三千万に増えたのが戦後の人口増。
○ 付加価値の定義は「企業の利益に、その企業が事業で使ったコストの一部(人件費や賃借料などのように地元に落ちた部分)を足したもの。地元に落ちるコスト と足すのは、同じ地元の別の企業の売り上げや従業員の収入となり、特定企業にとってはマイナスでも地域経済全体でみればプラスになるから。「金は天下の回 り物」。
○外国人労働者の受入れは結構だが、現在の生産年齢人口減少を食い止めるほど増やすと言うのは全く不可能。現在毎年6万人増(00-05年)であるのをみ ると、5年間で300万人(05-10年)とも考えられる生産年齢人口の減少に対しては、それ自体は否定しないものの焼け石に水。生産者としての外国人も ともかく、「消費者」としての外国人観光客の誘致は内需拡大に効果あり。ただ、JNTO(日本政府観光局)の予算34億円(08年度)、人員140人は貧 弱過ぎ。
○00年時の統計では、中国の10―14歳の数は1億2500万人、一方同時期の0-4歳は 6900万人、6000万人近く、45%の少子化が90年代に進んでいた。上海の出生率は0.65という数字も。今後中国は凄まじい人口成熟期を迎え、他 国に移民を出している場合ではなくなる。
○数字を読まない(SY)、現場を見ない(GM)、空気しか読まない(KY)人たちが、確認もしない嘘をお互いに言い合って拡大再生産
○所得はあっても将来不安から消費しない高齢富裕層。財産を相続する世代もその時には65以上になっていてまた消費を渋る。生前贈与促進で高齢者層から若い世代への所得移転を。困っている高齢者から移転しようと言うのではなく、高齢富裕層から若い世代へ。
○消費性向の強い若者所得増新は「エコ」と同じ。すぐに利益の出ない「エコ」にこれだけ多くの企業が配慮する中、日本の将来の内需を支える若者への所得移転だって企業として考えられるはずだし、それを評価するようなシステムが必要。
○東京都は専業主婦が多い。女性が働いている県ほど出生率も高い。女性が収入を得ることでそれを消費し、その副作用として出生率も上がるという傍証がある。女性の方が消費性向が高いのでは。
○ 反証の無いことだけを暫定的に信じる、明確に反証のあることは口にしないようにすることが、現代人が本来身につけておくべき思考法。実際には世の中の事象 の多くは証明されていない(証明不可能な)ことなのですから、反証があるかどうかを考えて、証明はできないまでも少なくとも反証の見当たらない命題だけに 従うようにしていれば、大きな間違いは防げる。