中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年01月16日
もともとボードゲームとしてスタートした「三国殺」ですが、今はオンライン大戦が大人気。中国の大手ネットゲーム企業・盛大の子会社・杭州辺鋒網絡科技有限公司(以下、辺鋒網絡)がサービスを展開しています。で、昨年7月、その辺鋒網絡が、杭州趣玩デジタルが運営するオンラインボードゲームサイト「卓遊世界」を告訴しました。
原因となったのは「卓遊世界」が提供するゲーム「三国斬」。名前だけで「アウトッ」な感じが濃厚ですが、ゲーム内の用語を変えたり説明文の語順を変えたり程度の改変で別ゲームとして売り出していたそうで。過去記事で「Yahoo! JAPANチャイナモール」で売ってるけどこれなに?とご紹介したゲームですね。
普通ならどう考えても「アウトッ」な状況ですが、杭州趣玩デジタルも堂々としたもの。「おまえらの『三国殺』もイタリアの有名ボードゲーム「Bang!」のパクリじゃないかよ!」と反撃。おまえらがパクっているんだから、おれたちのもパクりじゃねぇ!と言ったか言わないかしりませんが、ともかくよくわからん状況に。
で、どうなるのやらとみなみながワクテカして待っていると、昨年12月31日に辺鋒網絡は告訴を取り下げ。報道によると、すでに話はついたようで、辺鋒網絡が「卓遊世界」を買収するということで話がつくそうで。うーむ、なんとも謎の終わり方じゃないでしょうか?
しかし、これって中国ではよくある話ではあります。みな、すねに傷持つ身。パクられても我慢するしかないというか。今回のように訴訟とかやると、「おまえがいうな」攻撃を浴びてしまうという……。
友人の中国人学生から聞いた話では、中国の学術論文に盗作が多いのも同じ構図で、みんな盗作しているからパクられても文句は言えないという……。中国にも優れた研究者は多いので、「みんな」というのは言い過ぎだと思いますが、パクリとか問題が多いのは事実。まじめに調査すると、学術界が崩壊しちゃうかも……。
*おまけ 三国殺のもう一つの疑惑
「Bang!」のゲームシステムをパクったと言われている「三国殺」ですが、もう一つの疑惑も。カードゲームの魅力はゲームとしての楽しさだけではなく、イラストの美しさだったりするのですが、その肝心のイラストを日本の人気ゲーム「三国志大戦」からパクっているといわれています(Twitterで犬彦うがやさんよりこの話を教えていただきました)。
下記画像は中国ネット掲示板に貼られていた検証画像。上が三国志大戦の周瑜、下が三国殺の郭嘉だそうで。少なくともトレースはしてないようですが……。どうでしょう?