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【世論誘導】米国で「中国国家コマーシャル」放送開始=他国国民の心を攻める「公関」活動―中国

2011年01月18日

2011年1月17日、胡錦濤訪米を翌日に控えたこの日、米ニューヨーク市タイムズスクエアに「中国国家イメージフィルム」が登場した。

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*画像は新華社の報道

世界中の企業の広告、巨大ディスプレイ、ネオンサインが並ぶタイムズスクエア。その中でも異彩を放っているのが中国国務院新聞弁公室制作の「中国国家イメージフィルム―人物編」と名付けられた動画。

6枚のスクリーンを利用した動画には、譚盾(作曲家)、郎朗(ピアニスト)、袁隆平(科学者、「ハイブリッド米の父」)、楊利偉(中国初の宇宙飛行士)、姚明(プロバスケ選手)、鄧亜萍(女子卓球選手)など中国の著名人と一般の中国国民とが登場する。

動画の長さは60秒。1時間に15回、毎日朝6時から深夜2時までの20時間放送される。放送期間は2月14日まで。計8400回が放送される。またCNNテレビでも17日より同フィルムは放映されている。


*「中国国家イメージフィルム―人物編」

米国で流された中国の国家コマーシャルといえば、2009年11月にもCNNで放送されている(参考リンク)。こちらは「made in china」(中国製品)が他国と敵対する存在ではなく、他国の企業や人材と中国の工場とがコラボレートして生み出されたもの(made with china)と主張する内容だった。



2009年のCMと違い、今回のフィルムにはわかりやすいメッセージはなく、ただひたすらに有名人、一般人あわせた中国人の顔と、そして「中国 China」という文字をアピールする内容となっている。あえてその意図を読むならば、「中国の人間」を具体的にイメージさせ、抽象的なイメージではなく具体的な存在ととらえさせようとするもの、といったところだろうか。


今回、胡錦濤国家主席訪米にあわせてフィルムは公開されたが、このフィルムを制作しているというニュース自体は数カ月前から流されていた。満を持しての登場といったところか。おそらくは米国の有名広告企業をアドバイザーにし、綿密な調査を経て制作されたものだろう。

中国にも「宣伝」「広告」という言葉はあるが、国家イメージフィルムなどの活動は「公関」(公共関係の略)と呼ばれる。中日辞書では「広報」という訳語があてられているが、むしろ世論への訴えかけや誘導を意味する言葉と言える。2003年の新型肺炎(SARS)流行以来、中国では非常に重要視されるようになった。

対米関係を変える上で、外交やロビー活動だけではなく、「公関」を重視しなければいけない。中国のメディア研究者らが唱えてきた主張がまた一つ、形になった。このフィルムがどのような効果を上げるのか、注目したい。それにしても、ここまで露骨な「公関」を展開する中国政府に驚かされるのと同時に、「公関」の対象としてもらえない日本の位置づけについて改めて考えさせられた。

*記事についての情報や間違いなど教えて頂けると大変助かります!コメント欄か、メール(kinbricksnow●gmail.com、●を@に変えてください)でお願いします。


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