中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年01月19日
中国政府の土地価格抑制策
このため同年の3月5日開幕の全人代の期間中、国土資源部は▽バラック地区を改造する▽低所得者向けの住宅供給を強化する▽住居用住宅の建設総数が住宅全体の建設総数の70%以下に抑える――など19項目の地価抑制政策を発表しました。
この政策を発表した後、地価は下がる兆しを見せます。しかしそのような雰囲気はそう長くは続きませんでした。5月ごろになり、株価の下落で株では稼げないと感じた投資家が不動産に投資を始めるようになったのです。結果夏ごろから土地の価格は再度上昇傾向になりました。
このようなあがりっぱなしの土地価格に対し、不動産開発企業は土地の囲い込みや出し惜しみ、売り惜しみを頻繁に行うようになります。そして開発能力を超えた面積の土地を購入し、地価が上がったら売却して利ざやを稼ごうとたくらむ人間が続出しました。現に国土資源部は昨年の8月12日に、空き地となっている土地のブラックリスト1457件を銀行業監督管理委員会に報告し、回収をするよう訴えています。
それでも止まらぬ地価上昇と地方財政の土地依存
このような一連の措置を講じたにもかかわらず、全国105ヵ所にある主な調査都市における2010年の土地価格は第1~3四半期までで総じて、前年同期比で平均8%から9%増という高い水準で上昇しています。このことは、中央のこれら一連の措置が余り効果的ではなかったことを示しています。
ただ中央テレビは12日午前の論評で、「これら中央の一連の政策がなければもっと地価は上昇していただろう」と論じ、中央の政策に一定の理解を示しました。
また論評の中で、各級地方政府の昨年の土地譲渡金(土地使用者が土地使用権購入の際に政府に支払う、資本主義社会で言う土地代に当たるもの)による収入額は地方財政収入総額の60%になっていると指摘しました。
土地譲渡金で地方政府の財政が潤うのは確かであり、歓迎すべきこととはいえますが、長期的にみれば害は多いと中央テレビの論評は指摘します。「地価の上昇により、一般市民の生活コストの負担も重くなっている」と専門家は指摘しました。
その一方で各地方政府の負債は増加しており、専門家は「各地方政府の経済発展は、これらの土地譲渡金による収入で支えられている」と警鐘を鳴らしました。
このような土地の売り惜しみによる空き地の増加、そして地代によって支えられている地方経済という状況からしても、現在の中国経済がかなり危ういことは間違いないといえます。
固定資産税導入が転機となるのか?
このような状況に対し、重慶市政府は2011年に入ってついに、不動産税(固定資産税)導入の意向を固めました。導入されるとなれば、中国国内では初となります。不動産税は、投機目的の土地転売など土地高騰につながる行為を効果的に抑えることができます。重慶市の動きは、国内の地方政府がかなりの危機感を持っていることを示す一例といえるでしょう。
ただ、日本のバブルが先例になっているように、過度な引き締めはバブル崩壊を招きます。そのため、不動産税導入は一種の「危険な賭け」ともいえ、現在国内メディアではこのニュースで騒然となっています。これらの経済のバランスをどうとっていくかが、今後の中国の中央政府、地方政府の頭を悩ませる点になるでしょう。
1年土地を寝かせるだけで、資産価値が約1割ずつ増えていくなんてすごいですねw
土地バブルの話だと、高校の頃の先生の話を思い出しました。
バブル期に2千5百万円で新築のマイホームを購入したそうです。当時だと全然高く感じなかったと言ってました。
念願の新築一戸建てだったのですが、ある日1人の男性が家を訪れて「この家を6千万円以上で売ってくれ」と懇願してきたんだそうです。
その時は今後の土地の値上がりのことを考えて、その額じゃ安いということでお断りしたのだそうです。
しかし、しばらしくしてバブルは崩壊。先生には、価値の下落したマイホームと高いローンだけが残ってしまいました。
あの時、家を売っていれば…と授業中に良く嘆いていましたw