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胡錦濤訪米、「国賓訪問」にこだわり=念願かなった最高級の待遇に中国メディアは大喜び―中国コラム

2011年01月20日

国賓訪問にこだわる胡錦濤さん

先日、中国語翻訳をされている明天会更美好さんに、「訪問」についてうかがってみました。

「訪問」の違い(中国語翻訳者のつぶやき2011/01/09)

最後に「国事訪問」です。日本語では「公式訪問」と訳されることが多いのですが、この表現は①~④までのとは一線を画しており、注意が必要です。胡錦濤国家主席、オバマ大統領など国家元首クラスの指導者の訪問のみに使用される語句で、意味には「国賓クラスの待遇」というニュアンスが含まれています。

実は記事に登場する「フォロワーの方」は私だったりします。

20110119_china_column
新華網の報道。

*当記事はブログ「中国という隣人」の許可を得て転載したものです。

国事訪問と公式訪問の違い

suisaigagaga / 水彩画
中国メディアは「国事」扱いですが、日本語メディアは「公式」。06年の訪米時も揉めてましたけど @zhongwenfanyi胡錦濤主席、18日から21日までの日程で訪米へ。やっと公式発表出た。 http://bit.ly/hLDCBeat
01/07 23:13

zhongwenfanyi / 明天会更美好
@suisaigagaga 日本語だと「公式」より上の格式の表現ってないんですよね・・わたしも翻訳の際は、国事(公式)訪問ってやってます。
01/07 23:20

suisaigagaga / 水彩画
「公式」だと中国語に相当するのは「官方」のはずですが、「国事」を使う理由とは? @zhongwenfanyi @ 日本語だと「公式」より上の格式の表現ってないんですよね・・わたしも翻訳の際は、国事(公式)訪問ってやってます。
01/07 23:29

suisaigagaga / 水彩画
「公式」より上だと「国賓」しか思いつきませんが、中国語の「国事」にはその意味は無いですよね。でも中国は「官方」ではなく「国事」を使う不思議。http://bit.ly/eaFTVM @zhongwenfanyiat
01/07 23:41

zhongwenfanyi / 明天会更美好
@suisaigagaga
中国語原文では、「正式訪問」と「国事訪問」を使い分けているからです。どちらも「公式訪問」の意味合いがありますが、「国事訪問」のほうは「国家元首ク
ラスの待遇」の場合のみに使われることが多いです。要するに下っ端では、同じ公式訪問でも「正式訪問」なんです。
01/08 00:21

suisaigagaga / 水彩画

なるほど。勉強になりました。ちなみに習近平と李克強は「正式訪問」でした。http://bit.ly/dIKx3G http://bit.ly/i4MWBy @zhongwenfanyiat
01/08 00:29

ご覧のようにピントの外れた質問にも丁寧に回答いただいており、相当忍耐力のある方とお見受けしました。


前回の訪米は国事訪問じゃなかった

19日から胡錦濤さんが訪米するのを前に、ふとこのやり取りが頭に浮かび、もう1つ聞きたい事があったのを思い出しました。

中国駐米大使「胡錦濤主席の訪米は新時代の駐米関係に重大な意義」(2011/1/16 新華網)

中国の張業遂駐米大使は15日、ワシントンで中国系の米メディア合同取材に対し、「胡錦濤主席の米国への国賓訪問は、新時代の中米関係を進める重大な外交であり、意義はかなり深いものだ」と述べた。

この様に、中国では今回の胡錦濤訪米は「国事訪問」、つまり国賓待遇であると表説明されています。

新時代における中米関係の主旋律(2011/1/14 外交部)

(前略)皆さんもご記憶だろうが、1997年に胡錦濤主席が米国を国賓訪問し(中略)、皆さんはこれもご存知だろうが、胡錦濤主席が中国の国家元首として米国を訪問するのはこれが2回目だ。

胡錦濤は2006年に「国事訪問」していることになっていますが、実は中国側の作文に過ぎません。実態は公式訪問だったのです。米国が国賓訪問より扱いを一段下げるのには理由があるでしょうが、中国にはその扱いが我慢できません。誰より下に置かれているのか、という思いがあるのでしょう。だからこんな記事が書けてしまうのです。

ホワイトハウス「胡奥会」は中米関係の深さ、重要性を反映(2011/1/15 新華網)

胡錦濤が受ける待遇が挙げられています。アンドルー空軍基地で、バイデン副大統領が出迎えるわ、ホワイトハウス前庭で歓迎式典はあるわ、正式な晩餐会に加えてオバマ大統領に私的な晩餐会を主催されるわと、米国の厚遇ぶりをこれでもかと列挙しているのですが、1度目の訪米で国賓扱いされているのであればこんな事をわざわざ書く必要はないはず。

実際1度目の訪米は、国賓訪問か公式訪問かで米中が対立し、米側が折れて準国賓待遇にしたものの、直前に訪米したインドより格下の扱いを受けています。おまけに、胡錦濤がスピーチの最中に大紀元記者に乱入を許して、殺人鬼呼ばわりされるなど散々な扱いを受けており、今回こそは国賓訪問でなければ困るのかもしれません。

胡錦濤中国国家主席訪米共同声明の行方は…どうなる「核心的利益」(2011/1/18 産経新聞)

中国の胡錦濤国家主席は18日、国賓として米国を訪問するため北京を出発した。米国が中国の国家主席を国賓として迎えるのは1997年の江沢民氏以来。(後略)

まず、江沢民との比較があります。アメリカから国賓待遇を受けてこそ江沢民と同じになる、という胡錦濤自身のコスい考えがあるのでしょう。今回を逃すと、来年秋には総書記から退く胡錦濤にはもう次回はありませんから、外交部を通じて相当ねじ込ませたのではないかと。

次に、「中国の国家主席に相応しい」待遇を受けるべき、という中国政府と中国人の欲求があります。難問山積とはいえ、外交の最高レベルにある米国訪問ですから、箔を大事にしたいという中国人らしい気持ちは理解できます。

しかし、前出した「胡奥会」の冒頭は、「中国の国家主席が来週、米国へ国賓訪問するにあたり・・・」、と書き出されています。「胡錦濤国家主席」でなく「中国の国家主席」と表現する辺りが違うなと思うのです。こういう表現がまかり通る新華社ってなんだろうとか。

*記事についての情報や間違いなど教えて頂けると大変助かります!コメント欄か、メール(kinbricksnow●gmail.com、●を@に変えてください)でお願いします。

*当記事はブログ「中国という隣人」の許可を得て転載したものです。


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