中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年01月22日
昨年11月、IT調査会社のガートナーの予測によると、法的問題を抱えた「グレー携帯」の市場シェアは20%を超えたという。アホ氏があげた「5台に1台」という数字の根拠はガートナーの予測と見られている。しかし、この数字の正確性について国際的研究機関は懐疑的な態度を示しているという。
高級携帯の技術が流布するにつれ、パクリ携帯市場はたしかに回復の兆しを見せている。しかも本物とよりそっくりになり、パクリ製品が登場するまでの時間もより短縮されるようになった。特徴的なスライド式フルキーボードにせよ、タッチパネルにせよ、すべて模倣されている。この種のパクリケータイの価格は500元(約6250円)程度。正規品の販売価格3500元(約4万3000円)程度と比べても相当安い。
ただし、スマートフォンのパクリ携帯の多くは、スマートフォン用OSを搭載していない。性能は正規品と比べるべくもない。また、品質や電磁波基準、アフターサービスなどの面で保証がないことも問題だ。
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世界最大の携帯メーカーノキア。iPhoneやブラックベリーとは違い、新興国に売り込むための低価格商品という武器を持っているだけに、中国零細企業の躍進を憎々しく見ているのではないでしょうか。(参考記事「iPhoneもしのぐ世界最強ケータイ」(ニューズウィーク日本版))
ただ、「世界の5台に1台がパクリケータイ」というのはどうでしょうか?中国パクリ携帯と訳されることも多い「山寨機」ですが、正確には「ノンブランド携帯」と訳すべき。独自デザインだったり、「くまのプーさん」の顔に組み込まれていたりと謎のデザインを持つものも多く、必ずしも他社のパクリではないためです。
さてさて、それでは中国ではどれほどのノンブランド携帯が製造されているのでしょうか。2010年12月30日付台湾電子報によると、調査企業iSuppliのデータでは2010年の生産台数は2億2800万台と前年比43%増。さらに2011年には2億5500万台と爆発的に生産台数は増加するとの見通しです。また、ノンブランド携帯の過半数は輸出向けだそうで、2009年には1億1000万台、2010年には1億5400万台が輸出されたとの統計があります(南方網)。
しかし、2012年以後は縮小に向かうとのこと。2G版携帯の場合では正規版も十分に安いことがネックに。3G携帯の場合には技術ライセンスを持つ企業が新興国への輸出を妨害し、むしろファーウェイなど低価格な中国正規メーカーの輸出が伸びると分析しています(上記南方網参照)。
また生産台数が伸びているといっても、中国のノンブランド携帯メーカーも楽ではないようで。ちょっと古い記事ですが、2010年4月7日付新浪網によると、「山寨機」メーカーの80%は2009年に赤字を記録しています。理由はメーカー数が増えすぎて過当競争に陥ったためです。低価格競争が激化し、ほとんど利幅を上げられなくなっている状態です。