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VeryCDは海賊版コンテンツ自体を提供するのではなく、P2Pソフトでダウンロードするためのコードのみを提供するという「グレーゾーンのサービス」。同サイトの「著作権保護声明」にも、「うちのサーバーに海賊版コンテンツはない。ユーザーのPCに入っているのみ」と堂々と主張している。
しかし、こうしたP2Pガイドサイトへの風当たりは強く、類似のサイトの多くは取りつぶされてきた。また、インターネットテレビ及び動画共有サイトのライセンス制度の導入にあたり、動画コンテンツのダウンロードを支援するP2Pガイドサイトも対象になる可能性があるとして議論の的となった。
幾度となく問題にさらされてきたVeryCDは、一時的なサービス停止などは経験しつつも、これまでサイトそのものは存続し続けてきている。今回もまた、海賊版問題で風当たりが強くなったため、一時的にP2Pガイドサービスを停止したとの見方も強い。
本当にこのままP2Pガイドサービスを停止するのか、それとも得意の死んだふり作戦なのか。今後に注目したい。
と記事をしめくくろうと思ったが、現在のVeryCDをよく見て、「これはお見事」と脱帽した。VeryCDの動画コンテンツダウンロードページを訪問すると、YoukuやTudouなどYoutube型の動画共有サービスのガイドページが表示されるように変更されている。
お目当てのコンテンツを探して、複数の動画共有サイトを探し回る必要はなく、VeryCDを見れば、どのサイトに海賊版コンテンツがアップされているのか、一目瞭然という寸法だ。以前から同サイトに備えられていた機能だが、ダウンロードコンテンツを探しに来た客を逃さずに誘導しているのがすさまじい。
ダウンロードまで時間のかかるP2Pサービスよりも、クリックすればすぐに見られる動画共有サイトに人気が集まる中、VeryCDにとってはP2Pガイドサービスの閉鎖はそう大きな痛手ではないのかもしれない。それにしても、自身が海賊版コンテンツを持たず、ガイドという名の「グレーゾーンのサービス」に徹しているのは、さすがとしかいいようがない。
*画像はVeryCDの映画「ワンピース ストロングワールド」のサイト。Youkuの視聴ページにリンクが貼られているほか、消し忘れなのかダウンロードガイドも残っている。なおYoukuにアップされている動画はオープニングのみアップされており、それ以後は「知的所有権を守ってね」という動画に切り替わる。本物に見せかけるため、90分以上の長い動画にしているという手の込みよう。コメント欄には「騙したな!」となじる怨嗟のコメントがあふれている。