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2020年に有人宇宙ステーションを建設=中国の宇宙プロジェクトとその課題―翻訳者のつぶやき

2011年02月02日

中国の宇宙戦略

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※最初に打ち上げられる予定の「天宮1号」

2010年10月1日に打ち上げられた嫦娥2号でしたが、2010年11月8日に、近地点での月面撮影に成功し、無事その任務を終えました。

今回の「嫦娥2号」任務のうち最も重要なのが、次回中国初の月面着陸を行うことになっている宇宙飛行船「嫦娥3号」のために、着陸地点付近の鮮明な画像写真を撮影して地球に送るというものでした。2010年11月8日午前には温家宝総理自らが、「嫦娥2号」が伝送してきた写真の除幕を行い、任務成功を祝いました。このことから見ても、中国の月探査プロジェクト、そして宇宙プロジェクトに対する並々ならぬ意欲が感じられます。

*当記事はブログ「中国語翻訳者のつぶやき」の2010年11月9日付の記事を許可を得て転載したものです。

宇宙プロジェクトのタイムスケジュール

宇宙プロジェクトについて、中国は国力を見せ付けることのほかに、軍事的にも大いに利用価値があるものだと考えています。そのためには、アメリカとロシアという宇宙二大大国の牙城を崩す必要がありました。ですから中国は、宇宙開発は1つの重要な国家プロジェクトであると位置づけているのです。

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その中国の重要な宇宙プロジェクトの1つが、今回の月探査プロジェクトです。このほかに中国は独自の衛星航法システムを構築するプロジェクトも進めており、アメリカの航法システムであるGPSに対抗し、独自の航法衛星「北斗」を打ち上げています。

そして、10月27日、もう1つの大々的なプロジェクトがである「有人宇宙ステーションプロジェクト」が中国の「有人宇宙弁公室」から発表されました。

このプロジェクトですが、大まかに分けて次のような3段階で進めるとしています。

①2011年までに、後続の宇宙船のドッキング目標となる宇宙船「天宮1号」、そしてそれにドッキングさせる無人の宇宙船「神舟8号」を打ち上げる。ドッキング成功後は「神舟9号」「10号」も打ち上げ。「8号」「9号」は無人だが、「10号」は最終的に有人宇宙船になる計画。

②宇宙船「天宮2号」「天宮3号」も打ち上げ。「天宮1号~3号」はすべて宇宙実験ができる施設を備えた宇宙船であり、2016年までに小規模な「宇宙実験室」を宇宙空間に建設する。


③2020年には、中国独自の有人宇宙ステーションを建設する。


聞いてみると壮大な計画ですが、中国はすでに90年代に有人宇宙飛行プロジェクト「921プロジェクト」が中共中央政治局会議で可決されたときから、すでにこの3段階の戦略は提起されています。

2000年代に入り、2003年の「神州5号」による有人宇宙船打ち上げ成功以降、中国は宇宙開発に自信を強めてきました。今回機が熟したということで、このような計画を発表したということでしょうか。


課題も山積み

しかし問題もいくつかあります。それは開発の遅れです。もともと「天宮1号」の打ち上げは去年、つまり2010年に行う最終予定的なドッキングの様子でした。それが「技術的な困難」さから2011年に延期しています。ドッキング技術や宇宙飛行士の長期滞在による生命維持の技術など、中国には解決しなければならない技術的な問題が山積しており、この計画通りに行くかは未知数でしょう。

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もうひとつの問題は資金でしょう。これほどの大掛かりなプロジェクトを行うわけですから、どのように資金を調達するかという問題が焦点になってきます。

1つは人民からということになりますが、中国はこれから日本以上に少子高齢化社会になることは必至であり、税収などはこれらの「1人っ子世代」からとなります。彼らに重くのしかかることは避けられないでしょう。

また2020年の国の経済状況も、今と同じような状態を維持しているとは到底思えません。そのときにこれらの開発資金はどこから調達するのか。無理な資金調達を行えば、当然国は不況に陥り、人民の不満が爆発することになります。どちらにせよ中国は今後、これらの問題をクリアすることが必要になってくるでしょう。

*当記事はブログ「中国語翻訳者のつぶやき」の2010年11月9日付の記事を許可を得て転載したものです。

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