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「在日韓国人のゴールで優勝した日本、真の勝者は韓国だ」=日中メディア、合作の「釣り記事」―政治学で読む中国

2011年01月31日

アジアカップ 韓国人が勝利者?

今さら私がどうこう言うまでもありませんが、アジアカップ決勝で日本はオーストラリアを1対0で破り、4度目の優勝を飾りました。決勝ゴールを決めたのは在日韓国人4世の李忠成。このことが中国でもいろいろと話題になっていたので、少しご紹介します。

20110131_soccer
環球日報の報道。

『環球日報』(電子版)によると、李の決勝ゴールが、「日本と韓国のネットユーザーの間で熱い議論を引き起こして」おり、「韓国のマスコミに至っては、日本はアジアカップで優勝したが、韓国人が勝利者とまで報道している」そうです。(参照リンク:「日本は在日韓国人選手に頼ってアジアカップに優勝した=韓国メディアは「韓国人こそが勝利者」と報道」(環球時報)

*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。

日本メディアを引用して韓国の反応を描く、怪しい記事

環球時報の記事は、まず『Rocket News 24』の記事「サッカー・アジアカップは韓国が優勝!?ネットユーザー「実質韓国の勝利!韓国おめでとう!」」を引用(環球網の記者がこのサイトの存在を知っており、ここから引用したことに少しびっくりしております)。日本のネットに「実質韓国の優勝だな」「これは実質韓国の勝利!韓国おめでとう!!」などの書き込みがあったことを紹介してます。

次に『産経新聞』が引用した『中央日報』記事を紹介。日本はアジアカップで優勝したが、「これは在日韓国人が導いた勝利」「韓国人こそが本当の勝利者」と報じられたと書いています。


元ネタを探してみよう~

環球時報が引用したという『産経新聞』の記事を探してみました。ですが、上述のような表現は見当たらず。「韓国紙、中央日報(電子版)は30日、サッカー・アジア杯決勝について、在日同胞の「李忠成がやり遂げた」と、韓国から日本に帰化した李の決勝ゴールをたたえた。」という記事しか見つけることができませんでした(参照リンク「在日同胞がやり遂げた 韓国紙」msn産経ニュース)

念のため、『中央日報』の日本語版(すいません、ハングルはわからないので、原典にあたれません)も見てみたのですが、これには「在日同胞で日本サッカー代表チームの李忠成は30日(韓国時間)にカタール・ドーハで開かれたアジアカップ決勝戦対豪州戦で、延長戦後半に値千金の決勝ゴールを決め、日本を優勝に導いた。」とあるだけで、こちらでも「韓国人が云々」の報道を見つけることができませんでした(参照リンク「<アジア杯>李忠成、日本を勝利に導く」中央日報)

この『中央日報』『産経新聞』『環球日報』を3つ並べて見ると、

「在日同胞・・・李忠成は値千金の決勝ゴールを決め日本を優勝に導いた」(中央日報)

「在日同胞の「李忠成がやり遂げた」と、韓国から日本に帰化した李の決勝ゴールをたたえた」(産経新聞)

「これは在日韓国人が導いた勝利、韓国人こそが本当の勝利者」(環球時報)

と伝言ゲームのような状態に。少しづつ誇張されていくような感じが個人的にはおかしかったのですが、ニュース報道が伝言ゲームになっているのかと思うと、おもしろがってばかりもいられませんね。


*Chinanewsの補足

本記事で取り上げている環球時報の記事「日本は在日韓国人選手に頼ってアジアカップに優勝した=韓国メディアは「韓国人こそが勝利者」と報道」ですが、ウェブニュース配信社・サーチナが記事「李忠成選手のゴールで韓国「優勝者は韓国人」、中国「恥知らず」」で紹介。日本最大のニュースサイトであるヤフーニュースに配信され、海外ニュースランキングトップ、全体で6位というアクセス数を集めています(31日午後6時半現在)。

サーチナの記事では「中国メディアの環球時報が韓国の報道を伝える」と表記。間の産経新聞をこっそり抜かしています。産経の記事を元にしていたと明記していれば、日本語しか読めない人でも、凜さんがやっていたようにちゃんと元ソースを当たれたはずなのですが……。

まあ、なんといっても一番問題あるのが環球時報の「釣り」翻訳。中国でも嫌韓感情は結構強く、韓国バッシングネタはアクセス数が見込めるコンテンツ。それだけにネット掲示板発の根も葉もない「韓国がまたパクったぞ!」ネタとかがニュースサイトに転載され炎上などというケースもありました(参照リンク:李白は韓国人だった?!ねつ造される「韓国人の文化パクリ説」―中国(レコードチャイナ)

サッカー日本代表が苦闘の末につかんだ栄冠。こんなつまらないネタでへんなオチをつけて欲しくないなと思います。

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*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。


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