中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年02月01日
百度の電子共有サービスが無法アップ状態でヤバそう(fladdict、2011年1月31日)
ブログでステキって紹介しようとサービスを掘っていたら、逆にヤバかった。マジヤバ。
ぱっとみマッキンゼーのトレーニング用プログラムとか、千と千尋の神隠しの台本とか、漫画がいっぱいとか溢れてる。ドラゴンボール、聖お兄さん、京極夏彦、ハチクロ。。。とまさに無法地帯状態。
*画像はBaiduライブラリ。パトレイバー、スプリガン、ゴルゴ13、聖☆おにいさん、ドラゴンボールなどがアップロード済み。
中国でも批判を浴びている百度文庫
本家の百度文庫については以前、記事を書いています(海賊版日本語書籍も落とし放題=「百度文庫」がおとがめなしの理由とは―中国)。
その後、2010年12月9日には、盛大文学が中国文字著作権協会、出版社・磨鉄図書と共同で、「百度文庫の著作権侵害及び海賊版に対する合同声明」を発表。徹底的に著作権侵害と戦うと表明し、最終的には訴訟になるとの見方が濃厚です(参照リンク:「百度文庫「著作権侵害事件」=三者が作家100人余りとともに声明」(中国企業家網、2010年12月10日)。
違法アップロードを促すシステム作り
百度文庫がヤバイのは、ユーザーに海賊版電子書籍アップロードのインセンティブを与えている点。オンラインで見るのは無料ですが、ダウンロードするために「Baiduポイント」が必要となります。「Baiduポイント」獲得のための方法はこちらのページで解説されていますが、大口のポイント獲得方法は「自分の投稿したバイドゥポイントが必要なドキュメントがダウンロードされ」ることです。つまり、人気の高いファイルをアップすればするほど、自分がダウンロードするために使えるポイントを獲得できるのです。
また、別に「ライブラリポイント」というのもあります。こちらは貯めていくと、ユーザーレベルが「インターン」から「新入社員」「チームリーダー」「主任」……「会長」へとアップしていくシステム。ゲーム感覚でファイル投稿を促すシステムです。
ユーザーのモチベーションを引き出すシステムは、百度発案ではなく、中国のネットサービスには広く普及しているもの。例えば、ネット掲示板では自分が建てたスレの閲覧者数に応じて、称号が変わったり、プレミアムサービスを受けられるようになったりするシステムがあります。
以前、「中国の腐女子に衝撃=ネット掲示板にBL小説転載の女性逮捕」で取り上げた北京テレビ(BTV)の番組でも、こうした不法アップロードを煽るシステムがやり玉に挙げられており、「ユーザーがやったこと。違法ファイルの確認、削除を徹底できなかったのは申し訳ないが、当社に法的責任はござらん」と主張するネット企業への批判は高まりつつあります。
おわりに
というわけで、中国でも真っ黒すぎると問題になっているシステムを、そのまんま日本に導入してくる百度はすごい!と驚いた次第。さすがに日本ではサービスを続けられないとは思いますが、「Baiduライブラリ」を機に「こんな簡単に海賊版電子書籍がゲットできるんだ!わーい」と日本のネットユーザー層が気づくと大変なことになるかもしれませんね。だって、ほら、本家の「百度文庫」にも日本語書籍は結構アップされていますから。
*追記
これだけのマンガコンテンツ、誰が一体アップしているんだ?!と気になったので、マンガ・コミックスページに表紙が並んでいるマンガを開いてみました。するとほとんど全部が「Hotdocsjp」の投稿。Hotdocsとはイデアルリンク社が提供していた文書・投稿共有サービスで、昨年11月に百度がサービスを買収しています。
2010年11月12日付ITメディアの記事「違法投稿? Baiduの文書共有サイトに「ハリポタ」や「ワンピース」」によると、ほとんどがHotdocsから受け継いだコンテンツということなので、今回大手ブログが取り上げたことで騒ぎになっただけで、日本企業が運営した段階から状況は変わっていないということでしょうか。
また小説部門を見ると、個人と見られる名称のユーザーが京極夏彦の小説や『涼宮ハルヒ』シリーズをアップしているので、百度になってからも変わらずに海賊版コンテンツのアップが続いているようです。