中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年02月03日
記事は、「2010年、わが国の国内総生産(GDP)は日本を超えたが、中国人の1人当たりGDPは日本人の10分の1にすぎない。わが国がODA卒業を祝うのはまだ早い」と主張、日本からの援助を継続して希望する姿勢を示した。という文言があり、ぱっと見、「まだ日本から金をむしろうと言うのか!」とかっかするような内容。ですが、元記事を見てみると、だいぶ翻訳記事とは印象が違うのです。
環球時報クオリティはすげー
なぜか環球時報本体のURLを見つけられなかったので、転載している中国評論新聞網を参照します。サーチナの記事は「日本の声を紹介した」とだけ書いてあり、具体的な名称は書いていません。環球時報にも明記されていなかったのですが、調べるとすぐに見つかりました。フジサンケイビジネスアイの「対中ODA、不要論台頭=外交カード活用法の再考必要」という記事です。
先日、ツイッターで、最近日本で紹介される中国ニュースのソースは環球時報が多いけどなんで?と質問を受けたのですが、私の見たところ「日本ネタを一番多く扱っているから」が理由です。今や日本ではもう要らないというぐらい中国関係ニュースがあふれていますが、コアな中国ニュースにそんなにニーズがあるわけではないですよね。というわけで、「中国が日本のことをこんなふうに報じているぞ」というニュースを扱うことが多くなります。
ですが、中国のニュース、新聞もそんなに日本のことばっかり取り上げているわけもないわけで。その例外が環球時報(英語名はグローバルタイムズ)。その名の通り世界各国のニュース紹介がメインの新聞なので、少なくとも日に1本は日本関係のニュースがあります。
今回の記事について調べている過程で見つけた記事なのですが、最高に笑える記事がありました。「尖閣諸島領有権について教科書に記載するべき」という最近の日本の動きを紹介したものなのですが、朝日新聞、産経新聞、毎日新聞に加えて、やまと新聞、そして「Itainews」まで紹介。
アイティーアイニュース?そんなサイトあったっけとググってみると……謎は全て解けた。
「Itainews」とはすなわち「痛いニュース」のことじゃん!
「日本ウェブサイト『Itainews』ではなんと「中国人は悪魔」と教科書に書き入れるべきとまで呼びかけていた。(参考リンク)うーむ。2chまとめサイトという説明がすっぽり抜けているので、日本のマスメディアが煽っているというふうにしか読めない……。これが環球時報クオリティ♪
記事は、「2010年、わが国の国内総生産(GDP)は日本を超えたが、中国人の1人当たりGDPは日本人の10分の1にすぎない。わが国がODA卒業を祝うのはまだ早い」と主張、日本からの援助を継続して希望する姿勢を示した。
日本ではODA「卒業」の問題が議論になっている。一部政治家とメディアは宇宙ロケットを打ち上げ、五輪と万博まで開催した中国は「卒業」の時期だと考えている。日本外交官の井出敬二氏は、日本人から見ると「卒業」は喜ぶべきことですと話している。
一方、中国人から見れば、現在はまだ「卒業」を祝う時期ではない。1989年、韓国の一人当たりGDPは4830ドルに達した。そして五輪開催後、韓国は日本のODAから「卒業」した。しかし中国の一人当たりGDPはまだ1000ドルに達したばかり。3000ドルの中収入国家の基準にもほど遠い。9000ドルの高収入国家との差はなおさらだ。
経済成長を進める過程で、中国はなお世界の援助を必要とする途上国に過ぎない。日本の一人当たりGDPは4万ドル弱。世界でも裕福な国の一つであり、世界第2位の援助国でもある。世界最大の途上国を援助するのは、日本にとっては当然の国際的義務であり、日本が政治大国になるために必要な行動でもある。
1999年より日本政府は大幅に対中ODAを削減しています。今や停止は避けられないでしょう。その時期は北京五輪後ではなく、上海万博の後になるのではないでしょうか(いつのインタビューなんだ?!)。問題は日中両国が争う中、不愉快にODAが終了するのか。それとも両国がこの問題を解決するのか。この点については日本政府は真剣に考える必要があるでしょう。