中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年02月05日
ここのところのほかの政治局常務委員の動向は、温家宝総理の視察のニュース以外は全く報じられておらず、ある意味かなり際立っていると言えます。さらに加えて、温家宝総理の視察のニュースは両日あわせてわずか6分程度となっており、胡錦濤主席とはとても対照的になっています。ここからも胡錦濤主席が党内で影響力を回復している証ともいえるのでしょうか。
そんな春節の状況でしたが、以前にもお伝えしたとおり、春節明けには中国国内で政治イベントが目白押しになります。
そのメインイベントが、3月5日、3月3日に開催される第11期全人代第4回会議、第11期全国政協第4回会議でしょう。2月はこの会議に向けた準備が主となります。2月1日には、この両会議(中国語では「両会」)の報道センターが2月26日、北京の梅西亜中心(メディアセンター)に正式に開設されることが発表されました。両会議専用のホームページもすでに開設されており、着々とじゅんびが進められているといったところでしょうか。
その前段階として、毎年2月の中旬ぐらいから全国政協と全人代の常務委員会会議が順次開催されることになっています。今年はまだ、常務委員会会議の日程は発表されていませんが、春節明けとなる2月9日以降には何らかの発表があると思われます。常務委員会会議では、3月初めの「大会」に提出する議案や議事日程の最終調整が行われることになります。
実は日本ではほとんど報じられていないのですが、毎年春節前ぐらいまでにかけて、地方の各省・直轄市・自治区、および主な市では、地方の人代会議や政協会議が集中的に開催されます。
今年も例年通り、春節前の2月1日まで集中的に開催され、地方の新しい省長や省党委書記、人代常務委主任などの人事が次々と報じられました。これも、3月初めに開催される全人代会議を前にして、地方の問題をあらかじめ洗い出すとともに、人事を刷新しようとするという政府、共産党のねらいがあると見られます。
今年の「両会」の注目は、今後5年間の国内政策の目標の指針となる第12次5カ年計画の内容でしょう。今年は第12次5カ年計画の最初の年となっているからです。
胡錦濤主席は春節前後に視察した河北省保定市で、大衆を前にして「われわれはすでに、5年間の計画を策定している」と公言しており、今後5年間の内容はほぼかたまっていると考えるべきでしょう。ただ、土地高騰、インフレ、地方格差、動労者の賃上げと雇用問題などなど国内問題は山積しており、これらの問題をすぐ解決できるか・・といえばほとんどの人が「無理でしょ?!」と答えるのではないでしょうか。(参照リンク「定市で幹部、市民と新年を過ごす」CNTV,2011年2月3日)
実のところ第12次5カ年計画期間の真っ只中となる2012年には、習近平国家副主席への政権移行が控えており、今年の全人代会議の状況如何によっては、胡錦濤主席がこれらの問題を次期政権に丸投げする可能性も出てくるのではないか、とわたしは読んでいます。政権の早期移行がささやかれているのも、その理由の1つではないでしょうか。
とにかく、これらの問題を一朝一夕で解決することは不可能です。ならば、今後の道筋をどうやってつけるか。2月、3月の全人代会議で答えが導き出せるかどうか。ここのあたりは注目すべきところでしょう。
*当記事はブログ「中国語翻訳者のつぶやき」の記事を許可を得て転載したものです。