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2011年02月07日
趙天偉さんは本来2月9日まで実家にいるつもりだったが、予定より3日早く勤務先の街まで戻った。「あと数日実家にいたら、交通費を借りなきゃいけなくなってました……」と苦笑い。1年間働いて貯めたお金がほとんど全部パーになったとか。
趙さんの悩みは彼1人だけのものではない。先日、中国ネット掲示板大手・天涯社区に「80後(1980年代生まれ)の旧正月帰省=いくら持って帰れば足りるの?」というスレッドがたち、注目を集めた。「子どもにも、それから親世代にもお年玉をあげないと。それから旧正月の飾り付けとかを買って、あと親戚への贈り物やら同窓会やら……」と趙さんは出費を数え、今回の帰省で2万元(約25万円)は使ったと明かした。
旧正月といえば、中国人にとって一家が集まる最も重要な伝統的祝日。それだけに使うお金も多い。実家に帰る民族大移動「春運」ばかりが注目されるが、実は人間とともにお金の大移動も起きているのだ。
ネット掲示板に出費の内訳を書き込んだ「偉宸2011」は典型的な例と言えるだろう。自分と妻の両親、4人に2000元(約2万5000円)ずつ。親戚の子どもにあげるお年玉が1200元(約1万5000円)、おじいさんに500元(約6250円)、往復の交通費が1500元(約1万8800円)。「偉宸2011」は最低でも1万元は必要だと嘆いた。数カ月分のtyちくに相当する金額だ。
新華社の記事は、ある社会学者の分析を紹介している。旧正月は家族が集まり、ともに過ごすことが一番大事なこと。両親にとっては子どもたちが帰省してくれることがなによりの贈り物であり、お金やプレゼントの多寡で喜びは決まらない。そうはいっても子どもたちは親の前でいいところを見せたいとがんばってしまい、自分自身で余計なプレッシャーを作り出しているのだ、と。