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「つぶやき」の力で子どもたちを助けよう=年20万人の子どもが行方不明になる中国

2011年02月07日

微博(中国国産のツイッター的サービス)を使って、誘拐された子どもたちを探しだそう。親元に帰してあげよう。

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*写真は活動のハブ的役割を果たしている新浪微博アカウント「随手拍照解救乞討儿童」。

農村研究で知られる于建嵘教授が提唱した運動に多くのネットユーザーが賛同。活動の輪が広がりつつある。

行方不明の息子は物ごいになっていた

2011年1月27日付青年報は、于教授のコメントを掲載。活動を始めたきっかけを伝えている。

2009年7月、福建省泉州市で6歳の楊偉鑫くんが行方不明になった。それからというもの両親は必死になって探し続けたが、何の手がかりも見つけられないでいた。ひょんなことから手がかりをつかんだのは2010年1月のこと。アモイ市在住のネットユーザーが、物ごいの子どもの写真数枚を公開したが、その中に楊くんのものが含まれていたという。

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*画像は南方網の報道

無残にも足は折られ、顔は汚れて黒ずんでいたが、母親は一目で息子だとわかったという。ようやく見つけた手がかりを頼りに母親はアモイ市に飛んだ。だが、それから1年、結局息子を捜し出すことはできなかったという。今年1月17日、母親は最後の頼みとばかりに、事情を書いた手紙を于教授に送った。


「つぶやき」で手がかりを探す

「手紙を読んで、私は激怒しました。」

于教授はそう話す。手紙の内容が事実だと確かめた後、于教授は事情を自らの新浪微博アカウントでつぶやいた。30万を超えるフォロワー(2011年2月7日時点)を持つ于教授の呼びかけに多くのユーザーが反応。情報を提供したばかりか、さらに多くの建設的な意見が寄せられたという。

「この件で一つのアイディアを得ました。もし、物ごいの子どもを見つけたネットユーザーが写真をとって、その日時と場所をつぶやけば、行方不明の子どもを持つ親たちは微博を通じて探すことができるのじゃないか、と」と于教授は明かした。

すでにこのアイディアは実行に移され、「随手拍照解救乞討儿童」(気軽に撮影して物ごいの子どもを助けよう)と名付けられたアカウントに情報が集約されている。出資者も現れたたため、月給2000元(約2万5000円)で専属スタッフ2人を雇い、活動が続けられているという。


ネットユーザーの協力が必要。そして警察の力も

「『囲観』が中国を変えます(囲観とは野次馬の意味。中国のネットではみなが注目してくれることで状況が変わる、野次馬になって欲しい、注目して欲しいと呼びかける形で使われる)。しかしネットユーザーには望むのは単に注目で終わらないこと。もっと切実に物ごいの子どもたちを助けることを考えて欲しいのです。私たちの最終的な目標は両親が子どもたちを探し出すことなのですと于教授は話している。

また、ネットユーザーだけではなく、公安部も力を貸して欲しいと于教授は期待している。先日、公安部人身売買対策弁公室の陳士渠主任は、「物ごいの子どもたちに関する市民からの通報を支持します」と微博でつぶやき、協力する姿勢を示している。


年20万人が行方不明に

ネットユーザーが協力して、物ごいの子どもに関する写真データベースを作ろうというこの運動。いい話のようにも思えるが、プライバシー侵害にならないか、物ごいに対する差別を助長するのではないかといった懸念も当然浮かぶのではないだろうか。

そうした懸念ももっともだが、中国では子どもや精神障害者の人身売買、物ごいや肉体労働を強制させるなどの犯罪が広がっているという現状がある。今年1月8日の京華時報は、北京市赤十字基金会事務局長のコメントとして、中国で行方不明になっている子どもが年間20万人超にのぼると報じた(参照リンク)。昨年明らかになった精神障害者を強制的に働かせていたレンガ工場の話もまだ記憶に新しい。

米国在住のジャーナリスト・何清漣氏は、改革開放以後の中国を強大化していく地方官僚とマフィアが結託する過程としてとらえているが、子どもの誘拐・かどわかしや人身売買、強制労働もそうしたマフィア経済の一環として組み入れられていると言えるだろう。

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