中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年02月08日
また同じくサンフランシスコ市に住む羅さんは、陳の慈善活動が台湾統一のための策略ではないかと疑っている。中国は人民元持ち出しを厳しく禁止しているのに、あれほどのお金を持ち出せるのはなんらかの陰謀に違いないというのがその根拠だ。
また閭丘露薇はブログで「陳光標式慈善」と題した記事を掲載。貧困層に直接現金を渡すようなやり方はいかがなものか。貧困者にも尊厳はあるのだ、と説いている。
これらの記事を読んでも、陳氏に対する批判にどうもぴんとくるものはない。陳氏は中国本土の実業家。建築ゴミを処理する企業を立ち上げ、一台で中国有数の実業家の1人にのし上がった。彼の名を中国全土に知らしめたのはその慈善活動。死ぬまでに全ての資産を慈善に使うと公言。災害被災地や貧困者への寄付活動を大々的に実施してきた。
なるほど、毎回盛大な贈呈式を開き、寄付を受け取る人と直接対面。メディアを呼んで「オレが寄付した!」とアピールしている姿に反感を持つ人はいるかもしれない。陳氏自身が慈善活動によって名を残したいと語っていることをきらう人もいるだろう。
しかし、たんなるポーズでこれほどの長きにわたり慈善活動をすることができるだろうか。陳氏の寄付で救われた人がどれだけいるだろうか……。
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と、陳光標擁護の記事を書くべくいろいろ調べていると、ちょっとゲゲッとなる写真が。
*画像は新浪網の報道。
机の上に山積みされた札束。陳氏率いる慈善実業家一行が台湾に出発する前に南京で開いたイベントでのもの。「この金を配るどー!」というアピールなんでしょうが、画面のインパクトがありすぎて、そのこてこて感にうぎゃっと来る人も結構いるのでは。
今回の陳氏の訪問は、「撒銭」(バラマキ)という言葉で報じられているようなのですが、確かにこの絵を見ると、本当に金でもばらまいていそうな感じ。
「金で買えないモノがこの世には3つある。 命と愛とチャンピオン・ベルトだ!」(@リングにかけろ)
と反発してしまう気持ちもよくわかるかも。やっていることはいいことなんだけどな~。
5人兄弟のうち姉も兄も餓死したという貧困家庭の出身ながら世を恨むことなく母親に教えられた「人助けをしなさい」という言葉を守り続けている話とか、子どもの頃夏休みに井戸から水を汲んで村で売りちょこっとお金もうけ。そのお金で隣人の学費を払ってあげたりとか、いいエピソード満載なのにな~~~。
問題はやり方ですね。悩ましい……。
*陳光標氏、台湾での講演。いい話をしているのに後ろには山のような「お年玉袋」。もったいねぇ。なにかがもったいねぇ。