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<続報>誘拐された子どもたちを「つぶやき」で救え=13日間で5人を救出―中国

2011年02月09日

鄧飛さんは、子どもが救出されたとのすばらしい情報を伝えてくれた。またしても、つぶやきのすごさが証明された。
2011年2月6日 午前9時45分

ついに中国最南部の珠海市でも西部からかどわかされた子どもが救出された。父親は「随手拍照解救乞討児童」に掲載されたネットユーザー撮影の写真を見て、自分の子どもだと分かったのだ。広東省を担当する「GJの微博」が連日連夜、珠海市の警察と連絡を取り合い、先ほど子どもを確保した。警察に最後の確認を待っている。
2011年2月8日 午前11時18分

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*画像は新浪微博の「随手拍照解救乞討児童」アカウント。

先日、エントリー「「つぶやき」の力で子どもたちを助けよう=年20万人の子どもが行方不明になる中国」で、中国企業によるツイッター類似サービス「微博」で行われている運動、「随手拍照解救乞討児童」(気軽に撮影して物ごいの子どもを助けよう)を紹介した。

わずか13日間で5人の子どもが救出された

街中で物ごいの子どもを見つけたら写真を撮影。時間と場所を添えて微博にアップしようという呼びかけだ。中国では年間20万人以上もの子どもが行方不明になっていると言われているが、その一部は誘拐、またはかどわかされたうえで、強制労働させられたりや物ごいなどの仕事を強制されたりしている。親たちは微博のつぶやきを頼りに子どもを捜すことができるという寸法だ。

2011年2月8日付中国広播網によると、運動が始まってわずか13日間で5人もの子どもが救出されたという。さらに8日午前には6人目となる子どもが広東省珠海市で身柄を確保された。その原動力となったのはネットユーザーの協力。ネットで公開された子どもたちの写真はすでに1000枚を超えている。


ネットユーザーと警察の協力

また見過ごせないのが運動の盛り上がりに警察が協力する姿勢を示していること。「普段からちゃんとやっておけよ!」とツッコミたいところだが、発起人の于建嵘教授は「公安部も力を貸して欲しい」と話しており、ムーブメントを起こすことで公的機関を巻き込んでいくというのはまさに目論見どおりの展開ではないだろうか。


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*画像は江蘇省常州市警察の微博。「かどわかされた子ども、女性を見つけたら110番を。あなたの写真が家族再開のきっかけになるかもしれない」と呼びかけている。それはいいのだが、なぜかいらっとくるイラスト……。


ツイッターとは違う、もう一つのネットムーブメント=公権力との協調を摸索

中国のネット流行語に「囲観」という言葉がある。元は「野次馬行為」という否定的な意味を持っていたが、司法や行政の力で問題を解決することが難しい中で、「せめて野次馬として見て欲しい。注目して欲しい」という肯定的な意味へと変わった。

「囲観」については古畑康夫氏の連載コラム「ネット用語から読み解く中国第7回・囲観」に詳しいが、そこで例として上げられているのは宜黄事件だ(参照過去記事:「中国官僚の本音を聞いてみよう!経済成長の秘訣は庶民の土地を巻き上げることにあり」)。県政府の土地収用に抗議した農民が焼身自殺したという事件。ネットを通じて事件への注目が高まり、最終的には上級官庁により県政府トップが罷免される事態へと発展した。

ネット検閲により接続が禁止されているツイッターでは、宜黄事件のように公権力と真っ向から対立する問題について「囲観」が呼びかけられることが多かった。しかし、微博では政府の指令によりつぶやきそのものの削除が可能なこともあり、同様の展開は難しいと考えられる。しかし、逆に言えば、政府とは対立しない形でのムーブメントを起こすことは可能だ。今回の「随手拍照解救乞討児童」はその可能性を示したものと言える。

ネットユーザーに注目と行動を呼びかけ、さらには公的権力との共闘を呼びかける于教授は、こうした構造にきわめて自覚なように感じている。政府と真っ向から対立するのではなく、ネットユーザーが運動の中で連帯をはかること、そしてネットユーザーの集まりが公的権力とのチャネルを持つこと。激烈な火種ではないかもしれないが、その先には中国の変革を育む芽が育つ可能性があるのかもしれない。

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