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2011年02月13日
スラムに住む劉聖楊さんは、「国際旅行島を目指す海南島。私たちの住むところを壊すのはまだ理解できる。ただ豚が売れなければどこにもいけないんです。そ れに分からないのが旧正月前になぜ取り壊しをしなければならないのかということ。多くの人々は寝る場所すら失ってしまいました」と話した。
三亜市政府は2010年12月初頭から3度にわたり、引っ越すように勧告していたと釈明している。豚の問題についても市当局が買いとる商人を紹介したと話しているが、しかし強制収用が始まった時点で多くの住民はまだ現地に住んでいた。
鳳凰鎮の王瑞安副鎮長によると、スラム街は燃えやすい家が多く、これまでもたびたび火事が起きるなどの問題があったという。旧正月期間には大量の花火・爆竹が使用されるため、火災が起きることを恐れたと話している。
*天井まで40センチの高さとなった家での暮らし。
王副鎮長は老人や子ども、豚が売れていない住民に対しては、取り壊しを遅らせるなど配慮したと話した。またスラム街は正規の住宅地ではなく、住民は現地に 戸籍を持たない外地人ばかり。そのため立ち退きにあたっても、当局は代わりの住宅を用意する必要はなかったと話している。
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長年にわたり不法占拠状態にあったスラム街。取り壊しも土地収用も「不法状態を正規の状態に戻すだけ」なのかもしれないが、とはいえそこで暮らしていた人々はどうにかして生活しなければならない。ましてや旧正月に追い出されたことを思えば同情を禁じ得ない。
昨年の尖閣沖中国漁船衝突事故では、中国人船長の拘留期間が延長されたことにより、中秋節を日本で過ごすこととなった。満月のように欠けることなく家族がそろうのが中秋節の幸福。船長の家族の気持ちを思って日本批判が強まったと以前お会いした中国人ジャーナリスト・安替さんは解説してくれた。
今回の土地収用事件でも、「旧正月を台無しにした」ことが人々の同情をひき、注目される事件になった要因のようだ。
*引用した画像は国際在線の報道。
貧民窟ですね
夏服だけど気温どれくらいなんだろう