中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年02月14日
その業務を行っていた人も現在は引退。お金を持ちすぎていたせいか、息子の代になって金の運用がうまくいかず、世界的な株価暴落の際に痛手を受けている。地下銀行絡みだけでないにせよ、その華僑曰く「アセアンでシンガポールのリー・クワンユーほど儲けた人間はいない」とその昔は言って憚らなかったらしい。
通貨や国家が信用できず、目と鼻の先に比較的通貨も安定している金融立国のシンガポールが存在していれば、そこに金を逃がしたいと考えるのも分からないわけでもない。
莫大な資金ならスイスではと考える人も多いと思うが、インドネシアの場合、それは自国・相手国政府にも交渉出来る真の大富豪のみであり、普通の富豪(と言っても日本人が信じられないお金を所有しているが)であれば、何かあった時に出向いてでも対処できる近場のシンガポールになるようだ。
地下銀行は、インドネシアというより、タイ、ベトナムも然り、世界各国に存在している。ベトナムのような国だと地下銀行を通して、米国経由でないと送金処理が出来ない事情も存在する。
地下銀行が何故存在するかというと、それは手数料が安いからというのが、一番の理由である。円だと通常5,000円位取られる銀行手数料を1,000円位で行っているからだ。新興国や後進国の人々にはこの手数料の差額は馬鹿にならない。
そして地下銀行の売りはスピードである。数時間後には現地にいる親族がお金を手に出来る。それは各国で繋がっている地下銀行組織がお金をプールしているからである。
しかしこの地下銀行の存在、もちろんマネーロンダリングにも使用されるので世界的に違法であるし、ダークなイメージは拭うことが出来ない。それでも新興国や後進国から出稼ぎしている人間からすれば、「貧しい私達から、私達の目では決して安くない手数料で銀行はボロ儲けするんじゃないよ!」といった、銀行非難とも取れる気持ちの表れでもあるのだ。
地下銀行と銀行の違いは、銀行法等に基づく免許を持っていないというところのみ。そして地下銀行の業務は、合法的な銀行間のコルレス契約と基本的には変わらない。
税金という名の元での搾取国家日本。今一番おいしい仕事は高級官僚になれなくても、役人になれれば給料と保証という意味では非常に美味しい。職がない時代に増税をしなければいけないほど、国家を腐らせた罪は重いが、誰も裁きようがないのが、現在の日本である。
私が知っているぐらいだから日本の当局は気付いているだろうが、夢や希望を失った中小零細企業の人々や日本という国家の将来を懸念している人々は、せっせと国外にお金を逃し始めています。
金額次第と方法では違法な手段も存在するが、私的には悪とは思えない心情も無きにしも非ず。さすがに日本はエジプトのようにはならないだろうが、今後不景気の中でインフレ恐慌により、いままで以上に生活が逼迫する日本国民に対し、どの様な対処するのだろうか。現状では、どう考えても打つ手はなしです。
*当記事はブログ「インドネシア情報局」の許可を得て転載したものです。