中国人「杏仁豆腐ってどんな食べ物?」オタクネタからは離れますが、中国の食べ物ネタをちょっと思いついたので今回はそれで一つやらせていただきます。
杏仁豆腐 / rhosoi日本人が考える中華料理のデザートと言えば
「杏仁豆腐」は真っ先に思い浮かぶものかと思います。しかしこの杏仁豆腐、中国本土ではそれほどメジャーな食べ物ではなかったりします。むしろ、日本で突出してメジャーになってしまったとでも言いますか。
*当記事は2010年9月10日付ブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の許可を得て転載したものです。
一応、杏仁豆腐は広東地方や香港、台湾などの南方ではそこそこ知名度もあり、華北華中地方の一部でも食べられたりしているそうです。ただ、大陸に住む大部分の中国人にとってはあまり馴染みの無い料理のようで、私が知り合いの中国人に聞いてみても
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「杏仁豆腐?ナニソレ?」
「よく知らないけど、豆腐料理の一種?」
「確か日本人がやたらと好きな中華スイーツだよね。私は食べたことがないけど」
「アイドルマスターのイラストの人だね!」
杏仁豆腐
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といった反応が返ってきました。
「中国人ならみんな三国志に詳しい」 というのは日本人の勝手な思い込みだという話はこのブログで何度か書いていますが、それと似たようなもので
「中国人ならみんな杏仁豆腐は馴染み深い食べ物」 というのも日本人の勝手な思い込みのようです。
中国人の中には日本に来てから杏仁豆腐を知って初めて食べたという方も珍しくないようで
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「噂に聞く杏仁豆腐をこの間日本に行ったときにようやく食べることができた」
「日本で食った杏仁豆腐ってのが美味しかったんだけど、あれ中国で売ってるものなの?その時一緒にいた日本人に聞いたら中国の料理と言う話だったけど、俺は売ってるの見たことが無い。」 ―――――――――――――――――――――――
といった話を聞いたこともあります。
このように日本と中国の杏仁豆腐の知名度の差が生まれた理由についてはイロイロと考えられますが、とりあえず私が思いつくのは
・中国では地方ごとに料理が異なる
・杏仁豆腐は日本人の好みに合ったので日本でメジャーになった
・中国では甘味、デザートなどの食生活がまだあまり発展していない
といったところでしょうか。「中国では甘味、デザートなどの食生活がまだあまり発展していない」という点についてはちょっと補足の説明させていただきますが、実は中国本土では「甘味」、特に一般庶民が気軽に楽しめるようなデザートが大きく発展したのはここ二十年くらいの話だったりします。
現在の中国の発展ぶりからは想像し難いかもしれませんが、中国の一般庶民の食が豊かになったのは改革開放後ですからわりと最近のことですね。
私が中国に行ったばかりの頃の90年代初頭の北京では生クリームの菓子などは皆無でほとんどバタークリームでしたし、その当時の北京で売られていた砂糖は白砂糖でもかなり雑味が多かったです(料理なんかには結構良かったんですが)。旅行先の上海で生クリームを使った菓子を食べて、中国では非常に珍しいと感じたのも覚えています。
更に、最近では洋菓子系に中華系のお菓子は押されまくっており、中秋節に食べたり送ったりする「月餅」や元宵節に食べる「湯圓」(ゴマ団子)などの季節モノを除くとどれも苦戦しており、中華系のデザートが広まるのはなかなかに難しいとか。
こういった背景があるので、日本で有名な中華料理のデザート「杏仁豆腐」に関しては、改革開放以前から既に甘味系の食生活が発展していた香港や台湾、そしてそれに近い広州といった所ならともかく、それ以外の地域ではあまり知られていないのではないでしょうか。
とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。
*当記事は2010年9月10日付ブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の許可を得て転載したものです。