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2011年02月17日
劉志軍はなぜ解任されたのか?
劉志軍は悪い噂が絶えない人で、任期中に北京と上海を結ぶ高速鉄道化計画、青蔵鉄道など多くの大型プロジェクトに携わる一方で、そこからキックバックを頂いちゃったのが、「重大な規律違反容疑」なのではないかと言われています。
丁書苗という山西省の企業家が劉志軍に賄賂を贈ることで、高速鉄道の設備やホテルなどの投資に関与する事になり、さらに車両生産とメンテナンスを行う工場の運営にも手を出していたのですが、彼女が先だって取調べを受けておりこのルートから容疑が固まったのでしょう。
劉志軍鉄道部長が重大な規律違反容疑で取調べ中(2011/2/12新華網)
党中央、劉志軍を鉄道部党組書記から解任=盛光祖を後任に任命(2011/2/12新華網)
どんな権力闘争が起きているのか?
後任となった盛光祖は、その簡素な経歴だけではどこの色に染まっているか判別できないのですが、劉志軍が江沢民(上海閥)に近いとされる事から、胡錦濤さん都合による人事だと推測されます。
ところが、博訊によれば、劉志軍は団派(共産主義青年団、胡錦濤の派閥)に近く、盛光祖は江沢民の遠縁であるとのこと。事実であれば、胡錦濤に不利という逆の意味を持つ事になります。また博訊の別の記事だと、劉は温家宝総理の閣僚ではあるものの、温家宝でなく江沢民の命令のみを聞き・・・とあります。博訊でもどちらがどちらなのかつかみきれていない様子。
ここの所、地方の省長や市長の交代が相次いでおり、劉の更迭もその一環に過ぎないのですが、ともあれ来年秋に党大会を控えた今ですから、何か意味を持つことは否定できません。両者に太子党を加えた三つ巴の人事争いが、これからさらに激しくなるのだと思います。
*当記事はブログ「中国という隣人」の許可を得て転載したものです。