中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年02月18日
「幽霊」皮革タンパクの復活
メラミンは純粋に臓器に負担を与え赤ちゃんの死亡事件を引き起こしましたが、皮革タンパクはクロムなどの重金属が混じっている可能性が高いので、発がん性 物質だね、きっと健康に悪いだろうねと考えられている程度で、まだはっきりとした健康被害の関連性は分かっていないもよう。とはいえ、勘弁して欲しいこと には代わりありません。
ちなみに皮革タンパクの使用は2000年代前半から始まっていたとも伝えられており、2009年には浙江省で実際に摘発されたことも。中国メディアは「灰に再び火がついた」「幽霊」という見出しで伝えています。
本当の問題は酪農農家にあるのでは
なんでこんなことをするの?という動機は、メラミン汚染粉ミルクもレザー粉ミルクも一緒。畜産農家は乳製品メーカーに原料乳を売るわけですが、その時に品 質の基準となるのがタンパク質。タンパク質の含有量が低すぎると「売り物にならない」として買ってもらえないのです。というわけで、タンパク質の含有量を 多いようにごまかせるメラミンや、あるいはタンパク質そのものである皮革タンパクを混ぜてみたりするというわけ。
一番の問題は不正が必要になる酪農農家のレベルじゃないかと思うのですが、いつもやり玉に挙げられるのは乳製品メーカーだったり、国家の検査制度であった りで、農家の状況を掘り下げた記事を見たことがないのが残念。技術レベルが低いから劣悪な原料乳ができてしまうのか、一定の比率で低品質なミルクができる のが当たり前なのか、それともタンパク質は後で足せるからとろくなエサを食わせていないのか。中国酪農専門家のみなさん、教えて!
またもや試練を迎えた中国乳製品メーカー
2008年のメラミン汚染粉ミルク事件前は、粉ミルク市場に占める中国国産メーカーのシェアは60%。それが2010年には50%にまで減少しています。今回の事件でさらに国産メーカーは厳しい立場に追い込まれるのではとの見方も浮上しています。もともと穀物など飼料価格高騰により経営的には厳しい会社が多かったため、合併統合など業界再編につながる可能性も指摘されています。
で、大手メーカーの寡占化が進んでですね、酪農農家からの買い取り価格も値切りまくってですね、「こりゃもうメラミンでも混ぜないとやっていけんわい」みたいな流れになったりして……。