• お問い合わせ
  • RSSを購読
  • TwitterでFollow

転職を前提に働くロシア人たち=恐怖の労働手帳―ロシア駐在日記

2011年02月27日

転職を前提に働くロシア人たち

ニジニ・ノヴゴロドは今日-25℃です。でも、たくましいタチアナは寒さに負けず今日もスポーツセンターに行きます。・・と言っても家から歩いて5分だから、本当はたいしたことないです。


Hello New Office / Martin Cathrae


この前私たちの会社であったことです。合弁会社が設立された当初ある専門で雇われたロシア人社員がいるんですけど、蓋を開けてみたらその専門の人が今のところ要らないことがわかりました。そして、気がついたら、その社員は私たちの会社が今必要としている別の仕事をするようになっていました。

それでは、私たちの会社の組織図も実態に合ったものに変えようという話になりました。日本ではすぐにできそうなことですが、ロシアではなかなかそうはいきませんでした。

猛反対したのは上記の社員、張本人です。
「仕事の内容は今のままでいいから、書類上の変更だけはしないでくれ」
と言うのです。

*当記事は2月22日付ブログ「ロシア駐在日記」の許可を得て転載したものです。


ちょっと意外な申し出ですが、それには理由があるのです。

実は、ロシアでは、肩書きや専門に変更がある度に、その社員のтрудовая книжка(職歴が記入される「労働手帳」)の中にその変更を記入することになっています(記入者は会社側)。

転職を前提に今の会社にいるロシア人社員たち。

本来の専門の職歴が途切れてしまうと、二度とその専門で就職できなくなってしまう可能性が大。そのことをわかっている社員たちは自分の専門や肩書の変更を容易に承諾するわけがない。

日本では人は会社のニーズに合わせて簡単に動かされます。この私も今の会社に入ってしばらくすると「経理だ」といきなり所属変更を言い渡されました。私の個人的な「予定」とはまったく違う話だったので最初はびっくりしました。ま、でも、タチアナのことだから「うちの家計簿もやってるし」ということでやってみることにしました。(経理を簡単に見過ぎ…)。

一方、ロシア人社員一人一人は「専門意識」が強いです。会社を転々としていても、専門だけは大学のときから変わらないのが一般的です。合弁会社のロシア人経理責任者は私の初歩的な質問に毎回目を天井に向けてはため息をしていました(一年経った今は慣れたみたいです。)

確かに、転職を意識するなら一つの専門をどんどん極めていった方がいいと思います。かといって、同じ会社にいながら色々な部署を転々として、色々な仕事を経験するというのも、悪くないです。そもそも大学に入学する時点で自分が向いている職業を的確に選べない人の方が多いと思います。日本の会社は「異動」のおかげでその点やり直しができますけれども、ロシアではほとんどの場合はもう一回学校に入り直すところからスタートするしかないです。

どちらも一長一短がありますね。

*当記事は2月22日付ブログ「ロシア駐在日記」の許可を得て転載したものです。

トップページへ






コメント欄を開く

ページのトップへ