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2011年02月26日
高齢者の死刑適用免除をめぐり紛糾
政府の鉄道部長の任免に関しては、すでに共産党の党職の任免がすでに決定していますから、劉志軍部長が正式に政府の役職を解かれ、盛光祖前海関(税関)総署署長が正式に鉄道部長になることは間違いないでしょう。全人代第4回会議に向けた最終調整が滞りなく行われるのも間違いありません。(参照リンク「権力闘争、続く。」中国語翻訳者のつぶやき、2011/02/14)
となると、残りは個別の議案に対する審議となります。今回審議されたのは、「刑法」の8回目の修正案の草案、「無形文化遺産法」の草案、「車両・船舶税法」の草案となっています。「刑法」の8回目の修正案の草案、「無形文化遺産法」の草案は昨年暮れに行われた常務委第16回会議でも審議されたもので、局採択に至らなかったものです。特に「刑法修正案(草案)」については今回で実に3回目の審議に当たるわけで、紛糾していることが見て取れます。(参照リンク「第11期全人代常務委第18回会議が開幕」中国語翻訳者のつぶやき、2010/12/21)
紛糾している原因は、75歳以上の高齢者に対する死刑適応について免除すると明記された第1回審議原稿に対して、委員らから異論が出たためです。そのため前回の審議原稿では「残忍な手段で殺人を犯した者は除外する」との条件が付加されました。
これについて、今回の審議の際にも議論は紛糾しました。年齢制限を70歳にしたほうがいいとの声が出たり、「残忍な手段」の解釈をはっきりすべきだとの意見に対し、「裁判のときに満75歳の犯罪者には死刑を適応しない」とすべきではないかという意見が再度出たりして、またしても議論がまとまらなかったのです。
この議論の背景には、中国も少子高齢化の波が押し寄せ、高齢者の犯罪がこれからより増えるのではないかという懸念が委員の中に存在することが挙げられます。
汚職役人の高飛び規制強化
ほかに私の目を引いたのは、公務員(つまり政府・党の役人)の「叛逃罪(亡命罪)」に対する議論です。中国人民大学の刑法学の教授である高铭暄氏は、「1997年の刑法改正から現在に至るまで、公務員の『叛逃罪(背信・亡命罪)』に対する改正は行われていない」とし、「叛逃」の定義に対する明確な線引きや量刑の見直しを訴えました。その教授の訴えを示すかのように、この「叛逃罪(亡命罪)」の線引きは今回の全人代常務委会議でも、委員の議論の的となっています。
現在施行されている「刑法109条」には、「公務の際に無断で職場を離れ、国外に亡命し、中華人民共和国の安全に危害を及ぼした公務員」に対して「懲役刑を処する」という記述がありますが、審議されている第3回審議原稿には「中華人民共和国の安全に危害を及ぼした」という記述が削除されています。
これは、公務員が国外で反中活動を起こしても、起こさなくても、亡命した時点ですでに国に危害を及ぼしたことが認定されるということを意味します。
高铭暄教授は、「叛逃罪(亡命罪)は刑法第一章の国家安全危害罪の中に含まれている」とするとともに、「これは叛逃罪(亡命罪)認定の厳格化を意味しているのか」とのメディア記者の質問に、「そう理解してもらってもいい」と答えました。
このような叛逃罪(亡命罪)に対する法改正に焦点が集まっている理由は明らかに、現在の中東での民主化運動が中国に飛び火したときのことを考えているからなのでしょう。そして、この法改正が議論になっている背景には、現在の政府高官にも現体制への不満を持っている人間が少なからずいることが挙げられると私は考えています。
25日の中国新聞社の報道によると、「刑法改正案(8)」が25日についに採択されたようです。報道によると、13項目の経済犯罪について死刑適用が取り止めとなりました。また裁判の時点で満75歳以上の犯罪者について、「残忍な手口による殺人を除き」、死刑を適用しないことが規定されました。
*当記事はブログ「中国語翻訳者のつぶやき」の許可を得て転載したものです。
と言いたいだけだ。