中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年02月27日
中国政府による「封じ込め」
作家の冉雲飛氏が国家政権転覆罪容疑で拘束されたことは日本でも大きく報じられているが(「「中国ジャスミン革命」集会呼び掛けネット転載でまた拘束 四川省の作家 懲役10年も」産経新聞)、それ以外にも唐吉田、浦志強、滕彪ら人権派弁護士などが身柄を拘束されている。またツイッターでは北京市の陳情者が警察に身柄を拘束されたとの情報も伝えられている(参照リンク、中国語)
さらに北京市の集合場所である王府井のマクドナルドは店の前を工事用の壁で覆った。道路補修工事名目だというが、集まる場所そのものを封鎖しようとした動きだろう。こうした問題から複数の都市で集合場所が変更されている。
また、「中国ジャスミン革命提唱者からのメール」を逐次公開していた北米華字ニュースサイトの博訊網には、激しいサイバー攻撃が加えられた。博訊網は臨時ブログを立ち上げ対応していたが、27日、今後は中国ジャスミン革命提唱者による投稿は掲載しないと発表した。
27日当日、なりふり構わぬ取り締まり
そして今日、各集会所には大量の警官を配備。上海では集会場所付近のファーストフード店が臨時休業を命じられた。北京では集会場所付近の公衆無線LANをカット、道路清掃用放水車を出動させて水をまくという名目で一時封鎖、集会場所付近で立ち止まろうとすると「歩け、歩け」と警官にはやし立てられる、警察犬を出動させるなど、一般人の日曜日のおでかけを台無しにする手法も採用されたという。
また現場付近で写真撮影した人のカメラをチェック。写真を削除させたばかりか、不審と判断した中国人市民、さらには複数の外国人記者(日本人含む)を連行するという緊急手段まで使ったという。
*日本メディアも積極的に報道。日曜日なのにお疲れさまです。以下、詳細だった記事。
集会阻止で群衆排除=撮影妨害、邦人記者ら連行-中国(時事通信)
中国、再び集会封じ込め 日本人含む9人連行(日経)
ジャスミンは咲かなかったのか?
ツイッターのつぶやきを見ているかぎり、先週よりさらに現場レポートしているつぶやきは減ったようだ。一方で関心は高いのか、 香港ラジオテレビのテキスト実況やBBCなどの速報記事のリンクをつぶやくツイートが目立った。現場の公衆無線LAN封鎖や当局の厳格な姿勢が影響している可能性もあるが、ある台湾メディアが「ジャスミンは咲かなかった」とのタイトルで報じているように、前回同様の「拍子抜け」感があることは間違いないだろう。
ネットでも「中国ジャスミン革命」に対する賛否両論が激しい。五毛党(政府に雇われたサクラ、世論誘導の書き込みを行う)によるものもあるだろうが、「提唱者が完全に匿名で隠れているのはおかしい」「こんなバーチャルなイタズラのような活動のやぶ蛇で、人権派弁護士らが拘束されるなんて」といった批判は、これまで積極的に発言してきた民主化シンパの人ほど痛感するところではないだろうか。
前回記事「たった一つのつぶやきが中国政府を驚かせた=不思議な「革命」の姿を追う」で説明したとおり、「中国ジャスミン革命」は徹底的にウェブを利用し、匿名で行われてきた。「ジャスミン革命提唱者」という、ハンドルネームすら使っていない発案者たちが現場にいたのかどうかすらわからないのだ。そんなものにまじめになれるのか、という心情もよくわかる。
一方で中国政府の激しい対応、外国メディアの報道、そして中国の一部ネットユーザーの注目と、このヴァーチャルな「革命」が大きな影響力を持ったこともまた確かだ。今後、各所に衝撃を与えた後立ち消えていくのか、それともなにか別の展開があるのかは、まだ誰もわからないだろう。
<中国ジャスミン革命特集>
ネットで中国版「ジャスミン革命」の呼びかけ=ネット掲示板、ツイッター、フェースブックで反響広まる―中国、2011/02/19
<中国ジャスミン革命>革命という名の「散歩」=勤勉な中国当局と治安コスト、2011/02/20
<中国ジャスミン革命>天津よりツイッター実況=壮大な釣り?変革の兆し?、2011/02/20
<中国ジャスミン革命>本当に失敗だったのか?「残念」な革命が残した大きな影響、2011/02/24
<中国ジャスミン革命>たった一つのつぶやきが中国政府を驚かせた=不思議な「革命」の姿を追う、2011/02/25
ニュースを見ると北京在住者として行かなくて良かったとホッとするべきか、行けば良かったと悔しがるべきかわかりませんね。
内容だけ見れば2chオフ会と変わらなく見えますが、政府の対応が厳戒を極めています。しかし参加者も野次馬も警官もメディアもみんな実態のない幽霊に化かされているみたいで、ちょっと馬鹿馬鹿しくも見えました。