中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年02月28日
経済成長をちょびっと抑制、格差是正、物価・不動産価格抑制に尽力
*温家宝首相の回答シーン。ノートPCをじっと見ているのは質問文を見ているのか、実はカンペが表示されているのではないか……などと疑ってみたり……。
いろいろある質問から日本メディアが取り上げたのは、経済成長率の目標(7%と第11期5か年計画よりも0.5%下げると明言。でも前期5か年計画期間中は結局11%代の成長だったので、目標値が意味あるものなのかは相当疑問)とか、格差是正とか。他には物価、とりわけ不動産価格の抑制もキーポイントでしょうか。
中国成長率、目標は7% 庶民に配慮、ちょっぴり低めに(朝日新聞)
中国成長率、目標は7% 庶民に成長目標、年7%に=新5カ年計画、格差是正を重視-中国首相配慮、ちょっぴり低めに(時事通信)
・悩める若人に自慢話炸裂
さて、せっかくですので、絶対に他メディアがとりあげなさそうな話をご紹介。
Q:ぼくは「90後」(1990年代)生まれなんですけど、人に理想がないね、責任感がないねって言われちゃったんです。首相は若い時、人に理解されないことありましたか?ぼくたちのこと、理解してくれます?どんな言葉をぼくたちに伝えたいですか?
温家宝:私たちの若者が理想に欠けているだなんて、責任感がないなんて、絶対にそんなことを言ってはならない。私はそうは思わない。我が国の発展は、民族の未来は若者たちにかかっているのだ。(中略)
若者たちと話すからには腹を割ってはなさねば。自分のことを話しましょう。私も理解されなかったことはあるし、そればかりか挫折も経験した。順調な人生ではなかったのだ。ただそれでもめげたことはない。困難を、プレッシャーを克服した。私はいつも役に立つ人間になりたい、そう思っていた。
(以下、大学在籍中、肺結核で倒れ半年間休学した話。それでも「人の倍は勉強する」猛勉強で優秀な成績をとった話を披露)
Chinanews評:最初に若者を持ち上げておいて、その後自分がいかに努力したかを語りまくる、つまりおまえらがたがた言ってないでもっと勉強しろやっ!と追い込むコンボが素晴らしい。
私も普通の人間だよ、グフフ
Q:みんな気になっていると思うんですけど、首相の生活って一般ピープルとなにか違います?普通の両親みたいに、子どもと仕事や生活について話し合ったりします?親戚を訪ねたり、同級生とあったりとかは?
温家宝:みなさんと一緒です。家族を持っています。上は90歳の両親、下は小さな孫からなる家族を。時に残念に思うのは家族と一緒の時間が少なすぎることです。首相在任中の8年間だけではなく、中央政府で働いているこの10~20年間、ほとんど休みがありませんでした。
それでも家族と一緒に食したいと思っていますよ。食事の時は孫の出すなぞなぞに答えたりね。
司会者:正解できますか?
温家宝:いつも孫にはかなわないんだ。それからね、孫の誕生日には彼らが歌を歌ったり、踊ったりするのを見るのが好きだ。私はね、みなさんと一緒で家族が大好きな人間なんですよ。
Chinanews評:普通の人アピール、キター!なぞなぞを使ってくれるあたりがポイント高いですね。しかもさりげなく(?)、仕事忙しいという頑張っているアピールまで加えているあたり。さすが「影帝」(俳優王)のあだ名は伊達ではありません。
雑感
どうでもいい楽しい話が満載なので、中国語が読める人はばらばらと眺めてみるのも楽しいのではないでしょうか。「汚職は絶対にある。だがそれを管理する包括的制度が必要だ」と言ってのける、すなわち「悪い役人は下っ端の役人。偉い人はちゃんと民の心をわかっているアピール」とか、いろんな技が盛り込まれています。
こういうパフォーマンスをいけしゃあしゃあとこなすスキルでは、近年、他の追随を許さぬ傑出したキャラクターが温家宝首相ではないでしょうか。次代の中国トップである習近平、李克強コンビは、どうもそのあたりの演技力に難があるイメージ。今のうちに俳優学校とかに通っておいて欲しいなぁ。