中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年03月02日
「一滴香」(他に「飄飄香」「香精王」などの名前でも販売されている)は、主にエチルマルトール、マロン酸、食用香料から構成されている。衛生部は「咸味食品香精」(塩味食品香料)に属するもので、鶏ガラスープと変わらない、適切な使用量を守れば問題はないとのコメントを発表した。
また「一滴香」問題を受け、国家品質監督検験検疫総局は、食品添加物の生産企業を受けている385社のうち実際に生産している256社を調査したが、基本的に基準に合致した生産が実施されていると報じられた。ただし、一部には「食品添加物」と明記してなかったり、成分やその含有量の注記がないなどの問題があったという。
近年、中国では食品添加物問題が注目を集めている。「エチルマルトール」のような化学物質名を言われるとなにやら恐ろしいもののように思えてくることも関係しているのではないだろうか。しかもたいていの物質は過剰摂取すれば、「内臓に悪影響」があり、「発がん性がある」ので、そうした専門家のコメントがちょろっとメディアに載ると、「それ見たことか!」と大騒ぎになってしまう。
もちろん実際に健康被害が生じているケースも多く、また各店舗が「もっと香り高くしてやろう~。どばどば~」とかやっているケースもありうるので、一概に杞憂とは言い切れないのだが。
また、健康問題だけではなく、お店の詐欺ではないかという指摘も。「牛骨をじっくり煮込み、10種類以上の香草を加えて作った秘伝のスープ」とか看板をかけておきながら、実際は「一滴香」を足らしただけだったりというケースもあるようだ。「一滴香」は相当普及していると報じられており、コスト面を考えれば、安い火鍋や麺には入っている可能性が相当高い。衛生部の管轄ではないにせよ、こちらの問題も取り組みが必要だろう。