• お問い合わせ
  • RSSを購読
  • TwitterでFollow

税金のムダづかい、年11兆円ナリ!レベルが違う中国の接待文化―北京で考えたこと

2011年03月04日

一晩で8つの宴会かけもち!?---「三公消費」をどう抑えるか

中国では白酒宴会、これは避けられないと苦労している中国滞在中の日本人の方は多いのではないでしょうか。中国において、 その代金の多くは国民の税金から払われているみたいです…。

全国人民代表大会と政治協商会議の開催(いわゆる「両会」)を控えたこの時期、改めて経費乱用の問題に光が当てられました。2011年2月23日付雑誌『南風窓』は、中国の国家予算の使われ方、とりわけ関心と非難を最も集める「三公消費」問題を特集しています(以下、2011年2月23日付南風窗を参照)。

20110304_party
*三公消費で今日も商売繁盛!?

*当記事はブログ「北京で考えたこと」の許可を得て転載したものです。


年11兆円の経費乱用

三公消費とは公用車の購入・使用(私用)、公費接待(飲み食い)、公費による外国旅行を指す。国家予算の無駄遣いの代名詞だ。三公消費に費やされる金額の特定は難しい。2006年、国家行政学院の竹立家教授が発表した推計によれば、2004年時点で年9000億元(約11兆3000億円)に達したという。

新華社刊の隔週刊誌『半月談』が先日、報じたエピソードは象徴的だ。西部地域の某県共産党委員会書記は、「上級機関のリーダーたちへの接待やいろいろな名目でやってくる監督指導に応じるために、次から次に止まることのない宴会三昧。一晩に八つの宴席をはしごしたこともある。飲んだ酒の量は数え切れない……」とこぼしている。

県の上級機関である市には、約30名ほどの幹部がいる。さらに市が直轄する各部門にも百十数名。彼らが県を訪れるたびに接待にしなければいけない。その書記は辛い胸の内を漏らした。とはいえ、外部から見れば、「県の書記1人ががどれだけ接待費を使っているんだ?それでは県全体では、市では、省では、飲み食いだけでどれだけの経費を無駄遣いしているんだ?」との疑念が生じるのは当然だろう。

20110304_party2
*接待に使われるレストランの料理はやたらとデカイ!パフォーマンスが派手!


毎年350万台の公用車をお買い上げ、支払いは5兆円に?!

飲み食いだけではない。公用車関連の支出は「三公消費」の中でもトップを占める。公式統計によれば、中国全土で年200万台以上の公用車が購入され、その費用は年1500~2000億元(約1兆8800億~2兆5000億円)に達するという。

ある学者は実際の購入台数は統計以上だと主張している。実際の数値は年300~350万台が購入され、費用は年3000~4000億元(約3兆7500億円~5兆円)に達するという試算だ。2011年1月、黄華華・広東省省長は、「昔は副省長以上になって初めて専用車が与えられたが、今では『股長』(訳注:行政機関内の役職。日本的に説明すると、係長よりも下、グループのまとめ役)でも車を持っている」と批判した。


無駄遣いをやめたらインフラ建設ができなくなった

財政支出の透明性確保、公開の必要性は叫ばれているが、思うように進展していない。先駆的な取り組みを見せたのが、四川省巴中市白廟郷。郷政府の全ての支出項目を公開することに取り組み(中国語で「裸郷」と呼ばれている)、経費での接待が大きく減らして有名となった。

しかし、その結果は惨憺たるもの。上級政府の資金で実施される水や電力、道路などのプロジェクトは一切獲得できなくなってしまった。やはり、下級自治体の幹部にとって接待は「重要工作」の一つであること。予算や各種のリソース、プロジェクト、優遇政策の獲得、そして官僚個人にとっては出世の機会までもが接待ににかかっていることが改めて浮き彫りとなった。

みなが知っているとおり、「三公消費」の問題は、つまるところ「特権」の問題である。2010年12月22日付人民日報は、「公用車改革にはさして難しい(制度)設計はいらない。必要なのは既得権益に立ち向かう改革への決心と胆力だ」との評論を掲載したが、「三公消費」の残る2項目、公費での飲食と海外旅行についても同じことが言える。


【考えたこと&思ったこと】
私が体験した中国の接待

決心と胆力を必要とするからこそ、最も解決が難しい問題です。私もたまに仕事の付き合いで、地方政府役人との宴会に参加しますが、地方でも半端じゃない豪華な宴会が開催されることも多いです。しかも、田舎であればあるほど、宴会ができる店の数は少なくなるので、ちょっと面白い事態に。

私たちの接待のために集まってくれたと思っていると、「すいません、ちょっと失礼」と一言あいさつして、白酒のグラスを持って他の個室に「出張」していく幹部たち。そうして数部屋回ってきた後、「じゃあ、また飲みましょうか?」と新しい白酒の瓶を開けられると、「あぁ、また開けちゃったよ。これも飲み干すのかあ……」とため息がでます(自分は酒が弱いので…)。

農村の住民はよくお酒を飲むと俗に言いますが、自分の経験から見て、地方で肝臓を壊しているのはその農村を管轄する地方都市政府の中・上級幹部ではないでしょうか。


厳しくなった国民の目、接待文化を改めるべき時

こうした接待文化が根付く中国では高級白酒の値段も驚くほどの金額に。先日もあるショッピングモールで、一瓶31万元(約388万円)の80年物マオタイ酒(白酒の代名詞ともいうべき銘酒です)を見つけ、ビックリ!他の酒を安く見せるための飾り物?それとも美術品と同じように投機の対象となっているのか、などと想像しましたが、それでも接待のために本当に消費されることもあるのかもしれません。民間はもっとすごいなんていう人もいるわけで、改めて中国接待文化の奥深さを感じました……。(参考過去記事:1本2600万円!超超超高級酒に見る白酒バブル=早くも黄信号が点滅?!―中国

中国人の宴会には、場を盛り上げ温かい雰囲気を作るといったプラスの面も大いにあると思うのですが、さすがに公費での飲み食いなど「三公消費」に対する国民の目は厳しくなってきています。「これでも以前よりは大分厳しくなった」と当局は弁解するのでしょうが、プロジェクトや資金獲得のために体を壊してまで酒を飲む、接待する、それを税金で支払うとあっては、さすがに胡錦濤主席の唱える「科学発展観」にはそぐわない風習でしょう。

*当記事はブログ「北京で考えたこと」の許可を得て転載したものです。

forrow me on twitter


トップページへ



接待の一流  おもてなしは技術です (光文社新書)
田崎 真也
光文社
売り上げランキング: 20900






 コメント一覧 (4)

    • 1. マネ
    • 2011年03月04日 22:01
    • まったく、
      死ねばいいのに…
    • 2. 阿井
    • 2011年03月05日 00:29
    • こっちじゃアメブロ見られないので転載助かります。

      北京の高級中華レストランに行くと、メニューに1本数千元の白酒が載っていたり、消費額何万元で何%オフのVIPカードを発行するとか書いていたり、誰をターゲットにしているんだと呆れましたが、公費接待のためだったのかな。
    • 3. いまじゅん
    • 2011年03月06日 12:50
    • 阿井さま>

      アメブロが見れなくなって傷心しております筆者です(涙)。

      北京にいると本当に消費意欲と言うか、本当にお金が余っている人と場所があるんだと感じます(まあ公費使いも多いのでしょうが)。昨日もあるレストランに行ったら「9999元(=約12.5万円)のプリペイドVIPカードを買うと、・・・が付いてきます」みたいな宣伝が。そこで「あらっ、お得ね」とか言って10万円以上ポンと出しちゃう人もいるんでしょうね、いやいや。
    • 4. Chinanews
    • 2011年03月06日 15:25
    • >マネさん
      いや、もうお金をどぶに捨てすぎだよね。。。

      >阿井さん
      ここも規制されるぐらい注目されたいw

      中国の高級品、上に切りがないですね。知り合いが日本の海苔会社の中国進出コンサルティングをしていたんですが、はんぱな高級品よりは、贈答用「超高級品市場」のほうが売れそうと話していました。

      >いまじゅんさん
      いや-、お金持ちの中国人は本当に気持ちいいぐらい、ぼんと使いますね。

コメント欄を開く

ページのトップへ