中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年03月07日
「北潤園」の集団散歩
現在、中国政府は「不動産を中心とした物価高との戦い」を継続中。過去記事でも何度か取り上げていますが、強力な政策をばしばし打ち出しています。で、一部では取引量が激減。値下げする物件も登場しています。が、それで困るのは高い値段で買った住民。だって「値下げ=資産価値減少」ですから。
という状況を受け、3月5日、北京市のマンション「北潤園」の予約者たちが抗議の「集団散歩」(非合法のデモではなく、たまたま一つところに集まったという名目で実施する抗議運動)を展開。パトカーが駆けつける騒ぎとなりました(2011年3月5日付財新網を参照)。
この日は「北潤園」の第3回販売日。最近の情勢を受け、業者側は1平方メートルあたり4000元(約5万円)を値引くバーゲンセールを実施しましたが、これにキレたのが第1回、第2回の購入者。そも第1回、第2回の購入といってもまだ正式な契約ではなく、優先契約のための手付け金を払っただけの状態で、マンションに住むどころか本契約もまだできていません。
それなのに住宅ローン規制導入で頭金の比率も利子も上昇。さらに住宅価格まで値引かれるとあっては貯まったもんではありません。というわけで業者側に損した分を補償するよう求めています。業者側は「政策が変わった場合にどうするかは手付け金支払い時の契約者に書いてあるはず。いまさらがたがた言われても」とゆずらない構えです。
「もう家を買った人」VS「まだ家を買っていない人」
「不動産値上がりしすぎで、家を買えないよ!」というのは人々の切実な願い。とはいえ、もう家を買ってしまった人にとっては不動産価格下落は大変な問題です。年々値上がりしちゃうから、と相当無理をした人も少なくありません(例えば月々のローン返済額が月給を超える、なんて人も)。というわけで、今、中国には「もう家を買った人」(「もう家人」と命名)と「まだ家を買っていない人」(「まだ家人」と命名)とという2つの利害集団が存在することに。
不動産価格高騰が続く中、「まだ家人」の悲鳴ばかりがクローズアップされてきましたが、価格抑制策があまりにもうまく行き過ぎてしまうと、「もう家人」の不満が爆発することになるでしょう。両者の利害は決定的に対立しているので、どっちも少し我慢する中間点を見つけ出す必要があるのですが、はてさてうまく行くのやら。
さらに今後も不動産価格が上がって欲しい業者陣営もいますので、「もう家人」と一緒になって、
不動産価格が下がって、資産価値がローン残高を下回っちゃった!で、家返すからもうローン支払わないとか言う人がでてますよ!このままだと不良債権増えまくりですよ、ぴーんち、ぴーんち。不動産価格抑制もやりすぎはよくないのとちゃいますか?
というキャンペーンを貼る日も近そう。というか、以前にあったことですが。このあたりの綱引きと政府がどのあたりに落としどころを設定するのかにも興味津々です。
PSPとかDSなら仕方がないけど