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タマゴ1個で救われる子どもたち=治安対策費8兆円の国で―中国

2011年03月09日

財新網の動画ニュース「児童の栄養関与、難題はいつ解決できるのか?」がちょっとせつなすぎる話でした。

中国貧困地域に住む児童の栄養問題については、以前、「「小日本」より背が低い中国人=「隠れた飢餓」が子どもたちをむしばむ」という記事で紹介しました。イモとかトウモロコシとか同じ食品だけを食べ続けることで、ミネラルなど微量栄養素が不足するという「隠れた飢餓」問題が中心でしたが、今回のネタはよりストレートな食品不足、タンパク質不足のお話です。


帽峰山色之山鸡蛋 / llee_wu


成長が遅れた子どもたち

動画ニュースは、馬軍くんという男の子が歌を歌っているシーンからスタートします。ちなみに動画は記者の携帯で撮影したのだとか。最近、一般人が携帯で撮影した事故映像がテレビで流されるのも珍しくなくなってきましたが、雑誌記者が携帯で撮影、動画ニュースに使用っていうのは、また思い切っているなと感心した次第です。

閑話休題。その馬くん、実は小学3年生なのですが、そうは見えないほどに背が小さい。いや、馬くんだけではなく、クラスメートたちも同じように成長が遅れています。それもそのはず、彼らの栄養は1日1個のタマゴに支えられているのだから。

子どもたちのご飯は朝も昼も乾いた蒸しパンだけ。へたをすれば夕飯も蒸しパンだけです。その結果は残酷にも数字に表れています。財新網が取材した青海省、寧夏回族自治区、広西チワン族自治区、雲南省の貧困地域では、小学生の身長は全国平均よりも10センチ低く、体重も8キロ少ないとのこと。


栄養朝ご飯プロジェクト

2010年、寧夏回族自治区では子どもたちに栄養を与えるため、「栄養朝ご飯プロジェクト」を実行。毎日1個、子どもたちにゆで卵を与えるようになりました。たった1個のタマゴですが、貧困地域の子どもたちにとってはバカにできないごちそうです。

小学1年生の楊くん。先生は彼がタマゴを食べるのをじっと見守っています。それというのも通学して初めてタマゴをもらった時、楊くんは大喜びでがっついて、のどを詰まらせてしまったためです。食べ終わると、クラスの生活委員が食べ終わったタマゴの殻を回収しています。子どもたちが自分で食べるのはもったいないと、持ち帰って家族に与えるのを防ぐためというのがその理由。


栄養補助が受けられない子どもたち

寧夏回族自治区では、区が専門予算を確保しているため、貧困地域のすべての生徒がタマゴを食べられます。ですが、他地域では事情が違います。栄養補助の対象者は寄宿舎に住む生徒のみ。貧困生徒の40%にあたる約1100万人をカバーしているに過ぎません。

寄宿生が増えれば、その分1人あたりにかけられる予算が減ってしまうため、学校側は寄宿生の資格を厳しく制限しています。青海省のある学校では、2.5キロ以内に自宅がある生徒の寄宿を許可しないというルールが定められています。例えば、家の位置が100メートル違うだけで、子どもの栄養条件がまったく違うというせつなすぎる事態にも。

他にも問題はあります。広西チワン族自治区の古山小学校、三只羊小学校では、食品直接支給を停止し、現金支給に切り替えました。しかし、保護者が子どものためにお金を使ってくれなければ意味がありません。制度の改悪に思えますが、政府にも言い分があるのです。食品直接補助では流用や不正契約などの問題が起きることを懸念したためだとか。


お金の使い道

現在、北京市で開催されている「両会」で、2011年の治安対策費(警察、武装警察などの経費)は13.8%増の6244億元(約7兆8100億円)と発表されました。国防費も前年比12.7%増の国防費6011億元(約7兆5100億円)と急増していますが、治安対策費はさらに大きな伸びを見せついに逆転することに。

そりゃ治安維持も大切なのはよくよくわかるわけですが、結局のところ貧困児童への手当てなど具体的な市民生活改善にお金を使わない限り、治安対策費はますますかさむことになるんじゃないのかな?どうでしょう。


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