「中国でも革命か?!」と一部の人がいろめきたった「中国ジャスミン革命」ですが、「ネットで告知が出た」「中国政府が厳重な警戒」「当日は外国メディアの記者がつかまった」「ネットで来週の告知が出た」……というエンドレスモードに突入。全然革命らしい展開になっていません(それでも中国に大きなインパクトを与えているというのが私の考えですが)。
しかし、今、中国圏ツイッターでちょこっとした話題になっているこの写真は違います。「うわっ、中国って政権崩壊したの?!」と一瞬錯覚するような大ネタです。
毛沢東の彫像がぶったおされている?!
Alexさんのつぶやき
このネタを知ったのは、中国人大学生のツイ民「Alex」さんのつぶやき。
ちなみにアレックスさんは以前からツイッターで中国事情を積極的につぶやいていた注目の人。最近になって「
オレ的中国の実態」というブログを立ち上げています。まだ始まったばかりですが、今後に期待大です。
バラバラになった毛沢東像
*倒れた毛沢東像の全体写真。哀ればらばらに。
事情については
9日付アップルデイリー・ウェブサイト版が伝えています。倒れた毛沢東像は海南省文昌市龍楼鎮の海辺に建てられていたもの。2008年の建設で全高は9.9メートルと立派です。
ところが今年2月19日、現地の不動産開発業者がぶっ倒し、写真のとおり哀れな姿に。この写真がネット掲示板にアップされ、愛国心あふれる人々の怒りを買ったという次第。ツイッターを見ると、「バグダッドのフセイン像みたい」となんかイケない想像をしている人もいるもよう。
毛沢東増殖中
「中国って社会主義の国なんだから、もう街中、毛沢東像であふれているんだろ!」とお思いの方もいるかもしれませんが、言うほど毛沢東像はなかったり。街のモニュメントも「共産戦士の像」とかが多かったりしますし、革命で死んだ人を記念する「革命烈士記念塔」にも毛沢東像ってあんまりない印象があります。
以前、ハンガリーから中国に遊びにきた友人をガイドしたことがあるのですが、「社会主義ならもっとスターリン像とか毛沢東像を建てるべき」と怒っていました。東欧革命前のハンガリーみたいな国だと想像していたのに、とがっかりしたようです。
で、意外と毛沢東像が少ない中国なのですが、逆にここ数年増えているんじゃないか、と。過去記事「
クリスマス翌日は毛沢東の誕生日=中国各地で盛大な式典」では、中国各地の毛沢東像の写真を載せていますが、ほとんどは新しいもの。湖南省長沙市にある米ラシュモア山ばりの毛沢東フェースもまだ新品です。
革命に負けた?いいえ、お金に負けた*画像は2008年、龍楼鎮の毛沢東完成式典。
龍楼鎮も2008年の建造ということで、最近の「毛沢東像ブーム」に乗っかったんでしょうね。アップルデイリーには「観光名所になって国内外からもお客がくるほどの人気」と書いてありますが、ググっても記事がでてこないし、各地に似たようなものがあるし、興行的にはさっぱりだったんじゃないか、と。
さて海南省といえば、「国際旅行島」計画が発動中。
不動産バブル、キター
五つ星ホテル、剣山のようにはやしてみた
負けじと八つ星ホテルを建ててみた
じゃあ高級別荘作った!
それ違法建築だから壊すね
高級マンション作った!
それ違法建築だから壊すね
とお祭り騒ぎ。中国で最もホットな地域の一つです。なので、「流行りにのって毛沢東像を建ててみたが、さっぱり客が集まらんわい。こうなったらホテルでも建てるか」みたいな流れだったんじゃないか、と。詳しい報道が欲しいところですが、どうでもいいネタの割に政治的には危険なので続報はないかも……。
というわけで、絵面的には「すわ、中国でも民主革命がっ!」という感じですが、実態は資本主義の悪魔に負けたってところでしょうか。
アンディ・ウォーホル
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