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中国の原発は安全なのか?新規建設認可を凍結も業界からは不満の声

2011年03月23日

東北関東大震災の発生以来、福島原発ではいまだに危機的状況が続いている。原子力発電先進国・日本で起きた「想定外」の事故は世界各国の原子力開発計画に大きな影響を与えている。国をあげて原発開発を推進し、近い将来、世界最大の原子炉保有国になる中国でも、原発推進の是非をめぐる議論が起きている。17日付フィナンシャルタイムズ中国語版19日付聯合早報を主に参照した。

2011年3月16日、温家宝首相は国務院常務会議を招集し、原子力発電所の全面的安全検査の実施を指示。同時に核安全計画の完成を急ぐとともに、同計画が認可されるまでの間、新たな原発開発計画を承認しない方針を打ち出した。


Vogtle nuclear power plant, Georgia, USA / BlatantWorld.com



原子力発電を放棄する必要はない

翌17日、新華社は「専門家談:原子力発電を放棄する必要はない」と題した記事を掲載。専門家の談話を引用し、中国の原子力発電所は福島原発とは異なり、新しくかつ成熟した技術であるとして訴えた。官制メディアが国務院決定にかみつくという異例の展開を見せている。

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*中国原子力発電所分布図。赤字が運用中、緑字が計画中、青字が建設中のもの。

中国の原発は安全、なのか?

2010年末時点で中国で稼働中の発電用原子炉は13基。日本の55基と比べ大幅に少ないが、将来の電力需要を担うクリーンエネルギーの主力として建設中、計画中の原発は多い。年平均原子炉8基の建設計画が承認されるというハイピッチでの推進が続いている。

中国の最も古い原発は1993年に試運転が始まった大亜湾原子力発電所と新しい。東芝・ウェスティングハウスやロシアの技術が導入され、すでに他国で実績がある信頼性の高い原子炉が採用された。また日本の沸騰水型原子炉とは違い、加圧水型原子炉を採用していることも、放射性物質漏出につながりにくい根拠とされている。また日本とは異なり、地震や津波の心配が少ないことも安全性の根拠だという。


原発をめぐる欲望と不安

温室効果ガス削減の切り札的存在であり、また多額の建設費が経済成長に貢献する原子力発電所。中国の需要が他国の原子力産業にもたらす恩恵も大きいだけに、中国企業も海外企業も今後の中国原発政策の推移を慎重に見守っている。

一方で、東北関東大震災を機に改めて「核の恐怖」を知った中国市民の間からは、これほど急ピッチに原発建設を進める必要があるのか、懸念する声も上がっている。一部海外メディアは大亜湾原子力発電所の小規模な事故が隠ぺいされていたとも報じていたことも改めて注目を集めている。

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