中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年03月26日
それが日本が中国の国際救援隊受け入れを決定し、13日に救援隊が日本入りすると徐々に変わり始め、救援隊の活躍ぶりに徐々に焦点を当てるようになります。目的は「被災地での働き振りを通じて、四川地震のときの日本の救援隊にも負けない素晴らしい中国救援隊員の姿」を広く中国国内に伝えることだったことは間違いないでしょう。
ただ、救援隊員の活動はあまりぱっとしなかったのか、21日に帰国するまでの間、時間をかけて救援隊の動きが報じられることは余りありませんでした。24時間ニュースを報じている中央テレビのニュースチャンネルにしても、1日の中で救援隊の動きが取り上げられた時間は数時間でした。ここから見ても、中央テレビを含めた中国国内のマスメディアは、救援隊に対して少々「拍子抜け」してしまった感があります。
救援隊員も、日本での活動に少々不満を感じていたようです。22日に中央テレビが放送した尹光輝中国国際救援隊隊長に対するインタビューの中で、隊長は「自分たちが到着したとき、消防署の職員はまだどの地点を重点捜索区域にすべきか討論中であり、事前にマニュアルが作成されていなかった」と日本側の準備の不手際を指摘しました。
同時に、体制的(防災体制)な面で、「各人が自分のことだけを気にしているようだった」と指摘し、「中国ならは『一方有难,八方支援(一つの場所で災難があればあらゆるところから支援する)』だ」と述べ、この点では中国の方が優れていると自負しました。
インタビューのほかの部分では日本の優れたところを賞賛していたのですが、ここのところでぽろりと本音が出てしまった尹光輝隊長。インタビューのここの部分は、中国国内メディアでは中央テレビしか報じておらず、ここから見ても中央テレビの日本に対する批判的な一面が見て取れます。
救援隊の日本入りの報道とほぼ同時期に、より詳細な現地リポートを報道したいと考えた中央テレビの特派員記者が、福島や岩手など被災地に続々現地入りしました。これにより、報道合戦が過熱化することになります。と同時にテレビはそのころから、中国外交部が大々的に段取りした在日中国人を中国へ退避させる活動や、被災地で研修している中国人研修生の動向などに興味が徐々に移るようになりました。
そして14日ぐらいから中国の徐々に大きく取り上げられるようになったのが、福島原発の事故に関する報道です。14日から数日後には、中国での東日本震災の報道において80%ぐらいは原発関連ニュースになりました。
それからは「【東北関東大震災】原発対策で異例の会議=揺らぐ中国エネルギー政策―翻訳者のつぶやき」で取り上げられたような国務院常務会議など、中国国内の動きと絡めた動きを伝えることが多くなります。その結果、国内でのデマの火消しに対応するため、沿岸部の指定された場所に放射線量測定のためのモニタリング地点を設置し、日々「今日の放射線の測定値は中国国内に影響を及ぼすことはありません」と報じるようになりました。
ここ最近では米英仏連合軍のリビア空爆以降、震災のニュースは控えめになっているのですが、震災報道に関連して言うならば、総じて福島の原発事故に対する批判的な報道にシフトしています。
原発事故そのものよりも、日本側の事故処理のまずさ、放射線漏れに対する日本の市民の不満、国際社会の日本に対する批判的な目などを紹介することが多くなっています。さらに、このところ日本の福島産野菜や東京の浄水場で放射能が検出されたニュース、さらにこれを受けた各国の日本産食品の輸入規制の動きなどを詳細に伝えています。
ここから見ても、原発事故に対する日本側の動きに中国政府がいらだっていることは明らかと言えるでしょう。
これからさらに事故の不手際が際立つようならば、中央テレビの報道は更に批判的なものにシフトしていくことは間違いないと言えます。中国政府の批判の目自体も、更に厳しいものになるのでしょう。私自身も、今後も注目していきたいと思います。
*当記事はブログ「中国語翻訳者のつぶやき」の許可を得て転載したものです。
ところで、昨日だったか中国に入国しようとした日本人が放射能に汚染されているため入国できなかったというニュースは本当なんでしょうか。
単なるデマなのか中国が神経質になってるだけなのか気になります。