中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年03月30日
登園許可が降りなかった理由は「完治していないから」という判断であれば、誰でも納得すると思います。しかし、どうも「一週間は休ませる」というのはロシアの医者の間で暗黙の(?)ルール(ある種の「相場」)になっているようです。
私たちの会社のワーカーたちも、一度風邪をひくと、一週間は絶対に出勤してきません(ワーカーたちが好んでこの制度を使う理由についてこのブログの記事「ロシアの制度:病気で損する事務所、得するワーカー」の中に書いています)。
もちろん、長い治療期間が必要な病気もあります。しかし、ロシア人本人たちでさえ病欠制度の利用を避けたくなるぐらいにむやみに長い休みをとらせるというのはやはり問題だと思います。
ちなみに、病気で休んでいる間は、いつもの給料ではなく「病欠手当て」をもらうことになります。最初の3日間(2010年12月末までは最初の2日間)は会社負担で、残りは国家機関「社会保険基金(ФСС)」から出ることになっています。
ところが、その基金は昨年大赤字(当たり前?!)。それを何とかしようと2011年1月1日から国は慌てて病欠手当て支給のルールの変更に踏み切りました。今年から、医者の診断書だけでなく、病気で休んだ年の直前の2年間の年収証明を出さないといけなくなりました。ロシアは転職が当たり前だから、多くの人はその書類を前の勤め先からわざわざ取り寄せなければなりません。万が一年収証明書を取り寄せることができなければ、その間無収入だったとみなされ、もらえる病欠手当てはごくわずかになります。さらに、病欠手当ての計算の仕方そのものも受給者たちが不利になるように改定されました。
手続きをややこしくする前に、むやみに長い休ませ方は何とかすべきだと思います。
医者の判断に国あるいは、会社側が、ああだこうだ言いにくいでしょう。何より長期休みが本当に必要な場合もありますし、休ませる期間の短縮はなかなか手をつけにくい問題だと思います。ただ、十分、病気から回復した人間が、働きたいのに働けない制度、あるいは、働けるのに自宅で制度を逆利用してこもっている現状は大いに問題なのではないかと思います。
*当記事は2011年3月30日付ブログ「ロシア駐在日記」の許可を得て転載したものです。