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「デマに踊らされすぎ」とがっかり=マスコミより噂を信じてしまう中国人―中国オタ事情

2011年03月31日

「塩食べた?」日本の地震関連のデマで中国も混乱

震災による日本の原発事故は海外でも不安による騒ぎがかなり起きているようですが、それは中国にも波及しているようです。

16日辺りから中国では「塩が被曝予防に効く」というデマが流れ、塩の買占めが起きているそうです。

被ばく予防に塩・みそ買い占め?中国デマで混乱(読売新聞)

ありがたいことにこの件についての質問をいただいておりますので、今回はそれについてを少々。


没落的盐井 / utpala ॐ

*当記事はブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の許可を得て転載したものです。


さてこの塩の買占めですが、中国では「塩慌」「塩王爺」(中国語における閻魔の通称「閻王爺」とおなじ発音です)などと言われているようでかなり大事になっていたようです。

政府機関の発言やニュースではデマを否定する情報が飛んでいますし、私の日頃巡回しているオタク系の掲示板でまで話題になっているくらいです。

このデマの元になったのは震災による福島の原発事故のニュースかと思われますが、デマの内容は「原発事故による海の汚染で塩が作れなくなる」、「中国の塩に含まれているヨウ素は被曝を防ぐ」というものだったようで、これをきっかけにして塩を買い占める騒ぎになった模様です。

ヨウ素についてはちょっと補足しますが、日本とは違い中国ではヨウ素の摂取量が不足している地域が多く、中国の国家基準では食塩1kg当たり35±15mgのヨウ素を含むように定められています。

このヨウ素を加えた食塩は通称「加碘塩」(「碘」は中国語でヨウ素の意味になります)と呼ばれていまして、中国で手に入る食塩は基本的にコレになります。(正直あんまりおいしくないので私は好きじゃなかったのですが)

そしてこの「ヨウ素入り」というのが被曝を防げるというイメージにつながってしまったようです。

中国語の挨拶には「你好」(ニーハオ)以外にも「你吃饭了吗?」(ご飯食べた?)というのがあるのですが、ネットにはそれをもじった「你吃盐了吗?」(塩食べた?)なんてネタの言葉も流れているようですね。

その後デマによる騒動は沈静化しつつあるようですが、今度は大量に購入(しかも値上がりしたものを)してしまった塩を返品しようとしたものの、販売側が受け入れないということから政府機関に苦情の訴えが殺到するなどしてまたイロイロと問題になっているそうです。

さすがに中国でもこの騒ぎにはずっこけているのも少なくないようで、私の巡回先の所では以下のようなやり取りも見受けられました。

よう、みんな。今日は塩食べたかい?
なんかもうスゲェことになってるな。

ネットオークションにも塩一袋5万元(約65万円)というアホみたいな値段で出品されてるな。さすがに買うヤツはいないと思うが……てか宣伝にある「抗放射」ってなんだよ……

みんな狂ったような感じだよな。沿海地区の人間以外そんなことやる必要ないだろ。長袖を着て肌の露出を少なくするとかの方がよほど効果がある。

沿海地区だろうがなんだろうが、中国にいる限りそんなもんは全く必要ねぇよ!!
ヨウ素を摂取する必要があるのは今日本の原子力発電所で戦っている人達やその近辺で逃げ遅れた人達くらいだ。日本だと東京でも安全。てか食物経由で被害を防ぐために必要な量のヨウ素の摂取は無理だ!

塩大量に買ってどうすんだ……放射能で死ぬより先に高血圧で死ねるわ。

ニュースで買占めというか奪い合いに参加している人間に用途を聞いていたが、体に塗るつもりらしい。自分に塩を塗りこんで塩漬けで死ぬ方法もあるかもな。

海を伝って放射能が来るからどうのこうのという話も出ているらしいけど、中国の塩の多くは岩塩や湖塩系の塩だからそっちの影響も考える必要はないな。そもそも海の汚染は放射能だけじゃないし……

まーた我が国の恥で世界にネタを提供してしまうのか。

俺スーパーで働いているんだけど、今の塩の売れ方はまさに狂っている……

中国人はホント何でもこんな感じだよな。何かあるとすぐ恐慌状態になる。

日本でも米や電池の買占めとが出ているというニュースは聞いているが、狂ったように買っているわけではないからな。ちゃんと並んでいるし。
まったく、ウチの国はいつもこうだ。

無知が恐ろしいのか、民度が低いのが恐ろしいのか……

マジでどこからこんな流言が出てきたんだ?どっかの専門家とかが言い出したりしたの?
それともどっかの悪い商人が儲けのために流した話だったりするのか?

どこから出たデマかは分からんが、これで儲けるヤツは出るだろうなー

地震の被害を見るのも悲しくなるが、こういう国内のダメっぷりを見るのも悲しくなる。

なんかもう「愚民」という言葉が頭に浮かんできた。
昔SARSのときも酢が効くというデマが流れて同じようなことが起こってたよなぁ。

塩を使ったものがどんどん高騰しているっぽいんだが……てか料理で塩使わない方が少ないだろうに……

そんなに慌ててどうすんだよ。何でもとりあえず奪い取るとかして。
そのせいで大したこと無かった事態が悪化してトンデモナイことになったりするのに。

食堂がこれを口実に追加で費用を取るようになりやがった。全くウチの国はどうしようもねぇ……

かなりマズイ事態になったのは確かだね。近くの店から塩が完全に消えた。

塩だけじゃなく醤油まで買占めが出ているらしい。もう何が何だかわからない……

まぁ、ウチの国の最強のメディアは「うわさ話」だからな。それで広まったら対処は難しい。
政府への信頼はイマイチだし、そもそも日頃からアレな状態が続いているから、民衆は安心感や信用というものに飢えているんだろ。
とまぁ、こんな感じで。
日本でも電池や米、トイレットペーパーをはじめとして買占めが起こっていますし、「ヨウ素を含む消毒剤などを飲んではいけません 」という注意が放射線医学総合研究所から出ていますから、あんまり他人事ではない気もしますが、中国の混乱はそれ以上のようですね。

中国では日頃の経験からか、「政府の発信する情報よりうわさ話を信じる」「最後に信じられるのは小道消息(うわさ話)」といった所があるので、デマも一気に広まってしまうような所があります。

実際私の中国滞在中の経験でも、ネット顔負けの早さでうわさ話経由の正確な情報が飛んできたなんてことが何回かありましたし、中国の一般庶民がうわさ話を重視するのも無理はないかとも思ってしまいます。この辺なんとも難しい話ですね。

とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。

3/20追記修正:デマの内容を詳しく教えていただいたので、そちらも追記しました。

*当記事はブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の許可を得て転載したものです。





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