中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年04月03日
アイ・ウェイウェイ氏は政府の不正を糾弾する社会活動家としての顔を持つと同時に、北京五輪メインスタジアム、通称「鳥の巣」の芸術顧問に就任するなど中国を代表する芸術家でもある。国際的な知名度も高く、当局もおいそれと手を出せない存在であった。その同氏の身柄を拘束したことは先月来、強化されている中国の言論統制強化を示すものとなった。
一連の言論統制強化については、ブログ「梶ピエールの備忘録。」のエントリー「中国で強化される言論規制」が詳しい。ネット規制の強化、活動家の拘束、大学生に対する「思想教育」などのトピックがまとめられている。こうした中国当局の動きは、チュニジアとエジプトの革命、さらには「中国ジャスミン革命」を警戒してのものと見るべきだろう。
最近、中国ネット民の間で、まことしやかにささやかれているのが「物理断網」という言葉。エジプトやリビアで実施されたように、インターネットの接続を物理的に切断する技術の開発が進められているというもの。現在はツイッターやフェースブックなどブラックリストに載ったサイトのみがネット検閲の対象となっているが、「物理断網」が導入されれば、基本的にすべての海外サイトへのアクセスが禁止され、ホワイトリストに掲載された一部サイトのみを訪問可能になるという。
こんなシステムが導入されれば、仕事がたちゆかなくなる企業が続出するはず。「物理断網」はたんなる噂に過ぎないと見ているが、しかしこの1カ月ほどの間に立て続けに言論統制が強化されているありさまを見ると、「ひょっとして」という不安がぬぐえないのも事実だ。