中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年04月09日
中央テレビは8日夜の「晩間新聞」で、この上海ディズニーランドの着工について詳しく報じました。この中でキャスターは、「今回の上海ディズニーランドの投資総額は245億元(約3180億円)で、5年後の完成を目途にしている」と伝えました。敷地面積は0.91平方キロメートルの予定となっており、香港ディズニーランドの1.25平方キロメートルと比べると少々見劣りする広さです。
「晩間新聞」で報じられたところによると、計画では、上海ディズニーランドは毎年700万人から1000万人の観光客を見込んでいます。「晩間新聞」では同時に専門家の分析を引き合いに出し、「完成すれば、入場券収入は毎年約16億元(約208億円)が見込まれる。これに公式グッズや飲食・住居などの消費を加えれば毎年計500億元(約6490億円)のサービス業の生産額を牽引することが可能となり、現地に5万の雇用機会を創出できる。これは万博が毎年上海に開かれているのと同じである」と伝えました。
閑古鳥の香港ディズニーとの折り合い
しかし上海ディズニーランドの最大の課題はやはり、距離的にかなり近い香港ディズニーランドとの折り合いをどうつけるかでしょう。広告戦略などを間違えると、下手すると観光客を香港と取り合うことになりかねません。しかもその香港ディズニーランドは決して順調ではなく、開業の二年目(2006年)には入場者数が20%にまで落ち込みました。結果、香港の海洋公園が入場者数でディズニーランドを上回るというある種致命的な状況になってしまっています。
工人日報によると、専門家は「上海ディズニーランドが赤字にならないようにするためには、入場者数が3年以内に年平均延べ1000万人になるようにしなければならない」と分析しました。
8日夜の中央テレビのニュース番組「晩間新聞」ではキャスターが、「稼げていないという香港ディズニーランドのような局面を回避し、国内の消費習慣の下で商業的な成功を収めるかどうかというのは出資者(ウォルトディズニー社と上海申迪集団)の知恵にかかっている」と分析しました。
香港とは異なる売上分配方式「上海モデル」
さらに香港ディズニーランドが毎年赤字になっている主な理由として、「ウォルトディズニー社が取り立てている高額のロイヤリティーと、赤字であっても黒字であってもディズニー社に費用を計上しなければならない方式を採用しているからだ」との考えを示しました。
このような「香港モデル」に対して、上海ディズニーランドは持株比率に応じて売上を分配するいわゆる「上海モデル」を採用することになっています。今のところ、中国側は上海ディズニーランドを管理する会社、付帯施設を管理する会社に57%の株式、管理会社にも30%の株式を保有していますから、この比率でウォルトディズニー社と利益を折半すると言うことなのでしょう。
求められる「中国らしさ」
中央テレビのキャスターは、ディズニーランドの着工式で中国服を着ていたディズニーキャラクターを引き合いに出し、「中国服を身につけたミッキーマウスが似合っているか、人をうっとりとさせる効果を出すことができるかは、ディズニーにとって1つの試練となるだろう。郷に入れば郷に従えであり、中国的な要素を取り入れて初めて親和力が生まれる。これは、単に中国服を身につけることよりもずっと複雑なことである」と論評しました。これは、言外に「ディズニーは中国の習慣に合わせるべき」という意味が込められているのではと私は感じました。
確かに東京ディズニーランドにしても、「日本らしさ」を全面に出したからこそこれほどまでに日本人に受け入れられたのだと言えます。経営面だけでなく、アトラクションなど内容の面で香港ディズニーランドとの差別化を打ち出し、なおかつ現地の中国人に受け入れられる「中国らしさ」を出せるか。上海ディズニーランドの前途は多難のようです。
*当記事はブログ「中国語翻訳者のつぶやき」の許可を得て転載したものです。
日本のネズミランドとシーも何回行きました。細かいところまで頑張った、そして皆のマナーも良い、だから人気を保ちます。
先日上海に一度帰りました。確かに最近上海の人のマナーが良くなった気がするけど、日本と比べるレベルではありません。
5年後はもっと良くなるかな、期待していますが。
中国らしさって、よく言われるけど、本当に成功した例は少ないですね。。。「最も中国の特色のある物語や美女も取り入れることになる」を聞くとより不安になりました。